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戯曲 250年の輝き/バカラ

●優雅な時間の友
(四人掛けのテーブルで一人グラスを傾ける女 暗闇からスポットか当たる
モノローグを始める)

こんな日は贅沢にブランデーだわ。コロナで旦那の接待も減って、うっとうしかっんだけと、今夜は久しぶりの接待で遅くなる、って。いっそのこと、帰ってこなければいいのに。
今夜はこっそりレミー(マルタン)、国産じゃだめね。(ルイ)13世、でてこいっ。でも、もったいないから少しだけ水で割っちゃう。おつまみは柿の種で我慢。知ってる?以前は柿の種6でピーナッツ4だったのよ。でもね、人気投票で7:3に変更されたんですって。あのしょっぱさがいいのよね。
こんな時のグラスはバカラ。旦那は気付いてないけど、私はバカラのコレクター。結構普段使いにもしているから、旦那には価値がわからないと思うわ。
この間なんて、旦那が「ティアラ」のタンブラーにウーロン茶入れて飲んだあと、洗う時に縁を蛇口にぶつけて「ちょっと欠けちゃったよー」なんて言ってきたから、ベランダから突き落としてあけようか、って脅しといたわ。
そうね、今夜は「パーフェクション」にしようかな。カットのないつるりとしたセクシーなお尻。まあ同僚のY美のお尻のようだわ。うーん、ブランデーの芳醇な香り・・・贅沢な時間。

●バカラの歴史
やっぱりグラスといえば、「バカラ」一択ね。ボヘミアンの「モーゼル」があるけど、やっぱり少し劣るわね。まあ、白鵬と稀勢の里くらいの違いかな。細かすぎてわからないって、いいの、いいの、フィーリング。
でも、なぜバカラが人気があるのかしら。ちょっと調べてみるわね。まずは、歴史をググってと。
創業は1764年だって。日本だと江戸時代の中ごろってことね。創業250年、歴史あるねー。クリスタルガラスの製造は1816年、今から200年前ね。それなら日本の柿右衛門の方がまだ古いね、1600年代に始まっているから。さすがメイドイン・ジャパンね。でもバカラは品質管理が徹底しているのね。不良品を販売しないから廃棄率が30-50%だって。失敗作でいいからこっそり貰えないかなー。
そもそも、クリスタルガラスってなにかしら。それはーっと、純度の高い透明なガラスね、ははあっ、作る時に鉛を入れると透明度が高くなるのね。なんか、不純物で曇りそうだけど、不思議。併せて硬いガラスになるのね。だから叩くと「チーン」と高い音になねのね。お仏壇のおりんも作ってもらえないかしら。ふーん、バカラは酸化亜鉛を30%以上含むのね。これはフルレッドクリスタルガラスって呼ぶ高品位のガラスって訳ね。ふむふむ。でも、クリスタルガラスが最初に作られたのはバカラのあるフランスではなくて、イタリア・べネチアのムラーノ島が最初なのね。日本の藤田恭平の作品に「ベネチア」とか「ムラノ」と付けられているからてっきり模様づけの始まりが、ベネチアンかと思ったわ。

●バカラの模様いろいろ
バカラのモデルはたくさんあるのよね。
ここにあるだけでも「アルクール」「ティアラ」「ハーモニー」「ベルーガ」「ローハン」そしてこの「パーフェクション」。でも、40種類以上は十分ありそうね。模様のエッチングがあるバカラはもっと欲しい。飲み物を入れると模様が浮かび出るのよね。
形状もロックグラス、タンブラーとウォータゴブレット。ショットグラスにワイングラス、シャンパンフルートにこのブランデーグラス。細かく見ていくと、もっとありそうね。
私のお気に入りは「ベルーガ」のタンブラー。クリクリっとした丸いカットがかわいいわね。シンプルだけど旦那と息子には百均のコップでも私はこれで普段からアイスティーをいただくわ。
あー、いい気持ち。最近疲れてたから、酔いが回るわ・・・・・。

(しばし暗転 テーブル脇で女の肩をゆする男が登場 長男の帰宅である 二人にスポットを当てる)

「おーい、おーい、起きて、かあちゃん。なんかメシ作ってよ」
あら、あなた、合コンじゃなかったの。えっ、コロナ陽性者が出て中止なの。
あーん、せっかくの一人の時間が台なしだわ。はい、柿の種がのこっているから、これでも食べなさい。私は旦那が帰る前に、もう一寝入りするわ・・・・・。