平山郁夫の代表作|平和への祈りを込め描かれた絵画の作風と価値
「孫悟空」で我々にも馴染み深い三蔵法師ですが、玄奘三蔵という名前で中国唐代に活躍した実在の僧侶です。三蔵の分骨を収めたお堂が奈良にある薬師寺の玄奘三蔵院です。一般には常設で開示はされている作品ではありませんが、三蔵法師と同じ楼蘭や敦煌石窟/莫高窟などを巡る道を歩いた日本画家・平山郁夫が全長49mにもなる13枚の大壁画「大唐西域壁画」をこちらに納めています。平山は「日本文化とはなにか」という答えを追求するために、三蔵法師の求法の旅を追体験したと語っています。また、第二次世界大戦での被爆体験から、平和への願いを作品に込めていったとのことです。今回は、日本画家・平山郁夫とその描いた作品の世界についてご紹介します。
平山郁夫とは?
巨匠日本画と言ってまず第一に思い浮かぶことが多いのは国民的画家と呼ばれた東山魁夷であり、並んで平山郁夫も挙げられると思います。昭和から平成にかけての日本画家で、私たちが多数の作品を見ることができる画家が平山郁夫ではないでしょうか。特にシルクロードを描いた作品シリーズは、シルクスクリーンなどの版画によってデパートやギャラリーで数多く流通しているため、お持ちの方や目にする機会が多いと思います。また、ユネスコの親善大使の活動などでも私たちに馴染み深い日本画家だと思います。はじめに平山郁夫の人物像や経歴をご案内します。
●平山郁夫はどのような人物か
平山郁夫は20世紀を代表する日本画家として知られています。中学3年生の頃に広島県で原爆の被爆体験をして、平和の祈りを込めた絵を描きたいとの思いから画家の道がスタートしました。母校である東京藝術大学/東京芸術大学では、教授・学長として後進の指導に当たるほか、日本国内外で失われつつある文化遺産の保存活動に参加し、特にアフガニスタンのバーミヤン遺跡など、世界遺産の保護に尽力しました。さらにユネスコ親善大使としても活動し、平和と文化の架け橋としての役割を果たしました。
若い頃から作品が院展に度々入選し、1967年から始まった法隆寺金堂壁画の再現事業は東京藝術大学教授・他のスタッフ計14名で取り掛かりましたが、壁画12面のうちの1面は平山一人で仕上げるなど、異才を発揮しました。その後、寺院やシルクロードの連作で、国内海外で評価されました。
●平山郁夫の歩み
1930年(昭和 5年)広島県豊田郡瀬戸田町に生まれる
1945年(昭和20年)15歳 広島県で被爆する
1947年(昭和22年)16歳 東京美術学校日本画科予科に入学する
1952年(昭和27年)21歳 東京美術学校日本画科を卒業する 東京藝術大学美術学部日本画科副手に就任 主任教授の前田青邨に師事
1964年(昭和39年)34歳 日本美術院同人に推挙される (日本美術院同人とは日本美術院の会員区分の最高位、同院の運営を行う構成員)
1966年(昭和41年)36歳 東京藝術大学第1次中世オリエント遺跡学術調査団に参加する 洞窟修道院壁画の現状模写に携わる 平山郁夫のシルクロード人生が始まる
1968年(昭和43年)38歳 初のアフガニスタン、中央アジアの取材を行う(シルクロードと仏蹟の取材)
1973年(昭和48年)42歳 東京藝術大学教授に就任する
1979年(昭和54年)49歳 北京で平山郁夫展開催する
1989年(平成元年)59歳 東京藝術大学長に就任する
1993年(平成 5年)63歳 文化功労者として顕彰される
1996年(平成 8年)66歳 日本育英会会長に就任する 日本美術院理事長に就任する
1997年(平成 9年)67歳 故郷の広島県に平山郁夫美術館が開館
1998年(平成10年)68歳 文化勲章を受章する
2001年(平成13年)71歳 東京藝術大学長に再任する
2004年(平成16年)74歳 山梨県に平山郁夫シルクロード美術館が開館
2005年(平成17年)79歳 永眠
●平山郁夫の主な入選と授賞歴
1953年(昭和28年)23歳 第38回院展に作品《家路》が初入選
1959年(昭和34年)29歳 第44回院展に《仏教伝来》が入選
1961年(昭和36年)31歳 第46回院展に出品した《入涅槃幻想》が日本美術院賞を受賞
1962年(昭和37年)32歳 第47回院展に出品した《受胎霊夢》が日本美術院賞を受賞
1963年(昭和38年)33歳 第48回院展に出品した《建立金剛心図》が白寿賞・奨励賞を授賞
1964年(昭和39年)34歳 第49回《仏説長阿含経巻五》《続深海曼荼羅》は文部大臣賞
以降も授賞を重ねる
平山郁夫の代表作と作風
平山郁夫は年代に応じて、様々なテーマに取り組んでいます。特に、被爆の症状が現れて以降は、平和や宗教など精神性の高い作品を次々と制作しています。以下では、大きく5つの年代区分で作風の変化をご紹介します。
●平山郁夫が描いた代表作と作風
平山郁夫の作風(作品のテーマ)は時代ともに変化しています。初期から挙げていくと、作風は「瀬戸内の風景と人びと」「仏教の教えと道」「日本の道と歴史文化遺産」「シルクロード」「文化財赤十字~平和の祈り」といったものとなります。以下で順番にご紹介します。
1.1959年頃まで
【作風】瀬戸内の風景と人びと
【代表作】三人姉妹 漁船
被爆後にお世話になっていた叔父の清水南山(東京美術学校の工芸の教授)は、「芸術とは美しいものを表現すること」と常に平山郁夫に伝えていとのことです。その言葉を胸に、平山は1952年頃に「自分にとって美しいことというと、春風駘蕩とした瀬戸内海の思い出しかないのだ」という言葉を残しており、故郷の景色を描きました。
2.1959年から1979年頃まで
【作風】仏教の教えと道
【代表作】仏教伝来 受胎霊夢
平山郁夫は東京藝術大学の副手時代に凄まじい吐き気とめまいに襲われ、医師からは原爆症と告げられたています。1959年頃に平山は「広島で被爆した私は、放射能症で苦しんだ。平和を祈る作品を一枚でも描きたい願いで「仏教伝来」を描いた。」との言葉を残しています。
3.1960年代から
【作風】日本の道と歴史文化遺産
【代表作】大仏開眼供養記図 熊野路(古道)
平山郁夫は「シルクロードの乾燥した砂漠地帯を旅して帰ってくると、私は無性に日本の潤沢な緑が描きたくなる」と述べ、国内の道や歴史文化遺産を描きました。熊野路を描いた1991年頃に平山は「人が移動し、物が動くところに道が生まれる。経済的、政治的な理由で開かれた道を宗教者が通り、歌人がたどって文化が伝わる。古い道は日本の歴史、土地の性格を教えてくれる」という言葉を残しています。
4.1966年頃から
【作風】シルクロード
【代表作】絲綢の路 パミール高原を行く 皓月ブルーモスク(イスタンブール) パルミラ遺跡を行く 交河故城 流砂月光 朝陽の砂漠を行く 流沙浄土変
平山郁夫にとってシルクロードのラクダのキャラバン(砂漠を隊を組んで行く商人の一団)は平和のシンボルであり、この構図は数多くの作品で描かれています。「平和だからこそ人びとがシルクロードを行き交うことができる。物質だけではなく、思想や人の心、宗教や文化が運ばれる。戦争が始まると交易は途絶えることからルクロードのラクダのキャラバンが平和のシンボルとされている。」と述べ、平山は1968年から160回以上シルクロードと仏蹟の取材を行いました。
5.1979年頃から
【作風】文化財赤十字~平和の祈り
【代表作】広島生変図 アンコールワットの月
平山郁夫は、日本文化の源流をたどる取材を続ける中、散逸や崩壊の危機に瀕する文化財を目の当たりにしました。平山はこれを契機に、戦場で傷ついた人を敵・味方の区別なく救う赤十字社の理念にならい、文化財にも同様に保護・救済を行う運動を提唱し、実践しました。人々が二度と同じあやまちをおかさないよう人類の「負の世界遺産」として残すことを提唱されている《破壊されたバーミアン大石仏》などを描き、文化財保護活動を通じて世界の人々に平和を訴えました。
平山郁夫の作品の価値
輝かしい経歴と実力を備えた平山郁夫の作品は、昭和-平成期の日本画家としては、非常に作品の価値がある作家の一人です。市場で流通している自筆作品は、スケッチやデッサン、水彩画から正式な日本画作品まであります。さらにはシルクスクリーンやリトグラフなどの版画類も流通してますので、ある意味では気軽に作品を楽しむこともできる作家となります。
ただし、ポスターや巧藝画・複製画などの印刷物があり、こちらは美術品としての価値はありません。また、2020年には平山を含む有名画家の版画が著作権者の許可を得ずに無断で複製され、逮捕者がでる事件となりました。この複製版画は百貨店などの販売元が回収していましたが、まだ回収しきれていないものがあり、それが美術市場で取引されることを警戒しています。
●平山郁夫作品の相場
平山郁夫の自筆作品については、売買の相場は6万円〜1,000万円くらいとなっています。作品の技法やサイズ、保存状態やそのときの需要により売買の価格は変動しています。
●平山郁夫作品の査定ポイント
・人気のモチーフ
人気のモチーフを描いた作品は、需要が高く買取りの査定額が高い傾向にあります。シルクロードのラクダや日本の寺社仏閣を描いた作品が人気です。
・サインやシール
作品の裏や作品が入れられた共箱(販売時の作品が入れられた箱)に作品名、印を押したシールが貼ってある場合に査定額が高くなりやすい作品です。
・作品の状態
保存状態が良い作品は査定額が上がる傾向にあります。紙の作品のため、カビの付着や破れなど状態が良くない作品の場合は査定額が下がる可能性が高いと言えます。
・紹介歴
書籍や雑誌で紹介されたことのある作品は高額査定が見込めます。こうした掲載作品や展覧会への出品歴が証明できる作品は知名度が高いため人気があります。
シルクロードの代表作に価値あり! 平山郁夫の査定はこたろうにおまかせ!
上記でご案内したように、日本画家・平山郁夫の作品は多くの方が目にしていることから、非常に人気がある作品です。自筆の作品はもちろん、シルクスクリーンなどの版画作品でも正規品であれば、お買取の対象品となります。
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