中国の掛け軸の魅力とは?歴史や主な特徴、種類、有名作家

中国の古い書物では、漢時代に生まれたとされる、端を中心に横向きに巻き付けていく、巻き物という書類の保存形式が多くありました。この流れを受けて唐時代には仏教画の影響を受けて縦方向に丸めていく「立軸」へと発展し、宋時代には現在のように書画を掛け軸の形にして飾る習慣が広まったとのことです。ここでは、宋時代からすでに1000年ほどの歴史を持つ中国の掛け軸について、その特徴や作品・作家についてご紹介していきます。
中国の掛け軸の歴史
先にご紹介しましたが、中国の掛け軸は北宋時代(西暦1000年ごろ)に誕生したと言われています。もっとも、日本には飛鳥時代にすでに中国から伝来したと言われているので、800年代頃にはすでに原型があったと考えられているようです。
掛け軸の起源には仏教がかかわっています。もともとは仏教の経典や仏画を飾るために仏具として使われた掛け軸ですが、初期のころは額縁に収めるという方法が多かったようです。ただし、仏教の布教のためは、額装では持ち運びにくく、破損のリスクも高かったため、巻物・絵巻のように手巻きして保管できる形式へと変化したようです。
中国の掛け軸の主な特徴
仏教の伝来以降、仏教の布教活動の一環として中国の物資が日本に届きましたが、やはり室町時代に始まった日明貿易が文化・物資の伝来に大きな役割を持っています。特に、茶道や美術文化について当時の中国の文化は人気が高く、日本人のあこがれの的となっており、掛け軸もその一つでした。
中国の掛け軸には以下のような特徴があります。
●詩と絵が一体となった構成になっている
中国の掛け軸には、詩と絵がともに描かれているものが多くあります。これは「書画同源」や「詩画一如」という考え方に基づいています。「書」と「絵画」は本来同じ根から生まれたものであるため、切り離せないという考えが根底にあるようです。
●落款の芸術性が高い
掛け軸には、作者の印である落款が押されることが一般的です。これは日本でも行われていることですが、中国の掛け軸では、落款印そのものが作品の一部として鑑賞され、価値があると言われています。作者だけでなく、歴代の所有者が自らの印を加える場合もあり、落款が多いほど、多くの所有者が存在していたことになり、掛け軸の価値にも影響します。
●文人表具を使用している
日本にある掛け軸の表装は大きく分けると、日本独自のの「大和表具」と中国で普及した「文人表具」の2種類があります。中国の掛け軸では、主に文人表具が用いられています。日本の掛け軸に見られる「風帯」(掛け軸の上部から垂れ下がる帯)が付いていないのが特徴となります。
●画風と構図が力強い
古来、中国の山水画は、険しい山や広大な河川を力強く描くことが多くなっています。対象の輪郭がはっきりとした構図になっている作品です。にじみやぼかしの技法を多用し、季節感や情緒を大切にする日本の山水画と印象が大きく異なります。
●日本の掛け軸と掛け軸の形状やサイズに違いが見られる
中国の掛け軸は、日本のものに比べて大きめ・長めに作られていることが多く、掛けるための表木の形状が日本の掛け軸は半月型であるのに対し、中国掛け軸は四角い形状をしている点など、日本の掛け軸との違いが見られます。
中国の掛け軸の種類
次に、現存する中国の掛け軸の種類をご紹介します。
●中国水墨画
墨の濃淡を利用して描かれる絵画が多く、墨の濃淡で、明暗や奥行きを表現しています。日本の水墨画が「にじみ」や「ぼかし」を多用するのに対し、中国の水墨画は力強く明瞭な筆致が特徴です。
●中国山水画
山や川、岩などの自然を題材にした絵画が山水画です。中国では霊獣の住む理想郷としての世界観が表現されています。日本の山水画が実際の風景に近いのに対し、中国では空想の景色が描かれることが多い点が特徴です。
●中国花鳥画/花鳥図
花や鳥を中心に、昆虫、魚、小動物、樹木などの自然の生き物を描いた絵画を指します。水墨画や彩色画の技法を用いて、美しさや生命の躍動感を表現することが特徴です。
●院体画(北宗画)
院体画とは、中国の皇帝の注文により、宮廷(皇帝の宮殿)で制作された伝統的な絵画様式のことを指します。特に、宋代の宮廷画院で発展した細密で華麗な絵画スタイルを意味します。
●文人画(南宗画)
学問や詩文に通じた文人(知識人)が描いた絵画のことを指します。特に、技巧よりも精神性や詩情を重視し、個性的な表現を求めるのが特徴です。中国を発祥として、江戸時代以降は、日本でも盛んに描かれています。
その他、人物画や書の掛け軸があります。
中国の掛け軸の有名作家
今日の日本で見られ、また人気がある有名作家について、以下でご紹介します。
●呉昌碩(ごしょうせき)
呉昌碩(1844年―1927年)は、中国の最も優れた芸術家の一人です。詩、書、画、篆刻のすべてに精通していたため、「四絶(しぜつ)」と評されることもあります。
学者の家系に生まれ、若い頃から学問に励び、書画や篆刻を生業にし、84歳で亡くなるまで多くの名作を遺しました。気品ある個性的な画風が特徴で、特に花の画を得意としていました。
●斉白石(せい・はくせき)
斉白石( 1864年–1957年)は、中国近代を代表する画家・書家・篆刻家で、独自の大胆な筆致と色彩表現で知られています。特に、エビや昆虫、花鳥、山水を描いた作品が有名です。彼の絵は伝統的な文人画の流れをくみつつ、独創的で生命力にあふれています。
●于右任(う・ゆうじん)
于右任(1879年–1964年)は、中国近代の著名な書家・政治家・ジャーナリストです。特に書道の分野では、草書の大家として知られ、彼が確立した「標準草書」は、現在でも多くの書家に影響を与えています。また、辛亥革命やその後の中華民国政府の政治にも深く関わった人物です。
●顧愷之(こ・がいし)
顧愷之(346年?–407年?)は、中国東晋時代の画家・詩人・書家で、中国美術史上、最も重要な画家の一人です。特に細部までこだわった精密な描写や人物の内面を表現する技法で高く評価され、後の中国・日本の絵画に大きな影響を与えました。
●黄慎(こうしん)
黄慎(こうしん)は、中国清代の画家で、特に人物画の名手として知られています。彼は「揚州八怪(ようしゅうはっかい)」の一人に数えられ、伝統的な文人画の枠にとらわれず、大胆で自由な表現を追求しました。貧しい庶民や風俗画を描いたことでも有名です。
●徐悲鴻(じょ・ひこう)
徐悲鴻(1895年–1953年)は、中国近代美術の巨匠であり、中国画に西洋の写実技法を取り入れた革新者です。特に「奔馬図(ほんばず)」に代表される馬の絵が有名で、中国国内外で高く評価されています。
●白雪石(はくせきせつ)
白雪石(はくせっせき)は、中国の現代画家で、特に山水画(風景画)の名手として知られています。彼は伝統的な中国水墨画の技法に西洋の遠近法を取り入れた独自の画風を確立し、中国画の近代化に大きな影響を与えました。
その他、黄賓虹(こう ひんこう、1898年 – 1993年)、王鐸(おう たく、1592年 – 1652年)なども知られています。
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もともと掛軸は和室で床の間に飾られていたものですが、玄関やリビングでのウォールインテリア、壁掛け・壁飾りなどの装飾として、オシャレなものとして使用されることがあります。また、アンティーク調でレトロなものですが、モダンなオフィス装飾で使用されることがあります。中国の掛軸は、中華風なアジアンインテリアとしても人気があります。
査定のポイントとして、素材・用紙(紙本か絹本か) 在銘の墨書きされた肉筆で、贋作や模写ではないか、シミなどのヨゴレ、軸先の材質などを見ていきます。書であれば、書法や創作性なども評価されます。また、共箱や桐箱などの付属品も評価の判断材料です。
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