【現代アート】国内外の有名なアーティストと作品|定義や特徴と価格
2016年10月、文化勲章の受賞者が発表されました。文化勲章とは、文化の発展や振興に顕著な功績を残した個人に対して授与する勲章であり、日本の文化分野での最高栄誉となる賞です。6名の受賞者がいましたが、その中に現代アートの草間彌生が選ばれました。現代アートというジャンルの芸術家で選ばれたのは彼女が初めてです。1970年の大阪万国博覧会で岡本太郎設計の巨大なシンボル「太陽の塔」が登場して以来、さまざまな現代アートを私たちが目にする機会は多くなりました。さらに現代美術館が各地で発足し、アートギャラリーや美術館の展覧会などで、現代アート界のアートシーンは広がりを見せてきましたが、草間彌生の文化勲章受賞は現代アート自体が日本の主要な芸術分野として国が認めた瞬間でした。今回は現代アートについてご案内します。
現代アートの基礎知識
現代アートとは何でしょうか?例えば、現代の美術作家が製作した伝統的な技法の日本画や陶芸作品などとは一線を画すものです。では、その線引となる部分や現代アートと判断する基準などについて、以下でご紹介します。
●現代アートとは何か
現代アートとは、主に20世紀以降に生まれ、発展・確立したアートのことを指します。用いる技法としては絵画や写真、映像や彫刻などのさまざまな芸術作品のジャンルがありますが、伝統的な手法の枠を超えた新しいアプローチやテクニックを採用しているという特徴があります。現在では、世界各地で巨匠から有名アーティスト、若手作家・若手アーチストまでさまざまな芸術家たちが多様な作品制作に取り組んでいます。
●現代アートが表現しているもの
現代アートには、社会や政治などの問題に対しての問いかけを表現している作品が多くあります。第二次世界大戦後に発展した現代アートでは、その後も各地で起こった紛争や戦争への抵抗や平和の追求を表現したものが多くあります。また植民地主義などの先進国と発展途上国の関係性への問いかけを表現しているような作品が作られたことがありました。その他、ジェンダー、人種、環境問題、消費社会への批判など、現代社会の課題や矛盾をテーマにする作品が多く見られ、物議となりました。
●現代アートの特徴
現代アートは分かりにくいと言われています。個性がありオシャレな雰囲気は伝わりやすいが、作品に込められている意味を読み解くのが難しい傾向のジャンルといえます。現代美術の父と呼ばれるデュシャンは「アートとは鑑賞者が思考を巡らせることで完成するもの」と述べていましたが、鑑賞者がアートの意味を読解しようとする行為も芸術であることを意味しています。全般的には、現代アート作品には固定的な定義を拒否することがその本質にあるため、鑑賞者の感覚や思考を挑発する多様な作品が展開されています。
先にご紹介した特徴を含めて、以下に現代アートの特徴を整理します。
- 自由な表現と技法の多様性
現代アートでは、絵画や彫刻といった伝統的な形式にとどまらず、インスタレーション作品(空間全体を作品とすること)、パフォーマンスアート(アーティストおよび他の参加者での実演をアートとするもの)、ビデオアート、デジタルアートなど、さまざまな媒体や技法が取り入れられています。視覚だけでなく、音や触覚、嗅覚、さらにはインタラクティブな要素も含むことが多いです。 - コンセプチュアルアート(概念重視)
作品そのものよりも、作品を通じて伝えたい「概念」や「アイデア」に重きを置くことが特徴です。作品が何を意味しているか、どう感じさせるかが重要視されます。日常的な物をアートに転用する「レディメイド」もコンセプチュアル・アートの代表例です。コラージュやミニマルアートなどの展開をした作品やアーチストがいます。 - 政治や社会問題への批評
現代アートは、社会的・政治的な問題に対して批判的な視点やコンセプトを提示することが多くあります。 - 視覚的な実験と挑戦
従来の美術が持つ「美」の基準に挑戦し、何が「美しい」とされるかを問いかける作品があります。抽象表現や極端にシンプルな表現、さらには無秩序に見えるような表現も、視覚的に新しい体験を与えることを目指しています。 - 観客との対話と参加型アート
多くの現代アート作品は、観客が作品に直接参加することで完成することがあります。たとえば、観客が作品に触れたり、その場で変化をもたらすようなインスタレーションも見られます。 - グローバルな視点
現代アートは、世界中の多様な文化やアイデンティティ、世界観を取り入れることが多く、グローバルな視点を持っています。異なる文化的背景を持つアーティストがそれぞれの視点を作品に反映させ、多様性や共感を促進する役割を担っています。 - 商業主義やメディアとの関係
ポップアートと呼ばれるジャンルでは消費社会やメディアの影響を強調して制作される作品があります。代表的なものとして、アンディ・ウォーホルによる作品が挙げられます。
●現代アートの取引と価格(相場)
現代アートの制作者をご紹介する前に、現代アートがアート市場で販売・取引される際の価値についてご紹介しておきます。
・価格の決まり方(現代アート以外のジャンルも同様)
STEP1.一般的にアーティストとギャラリーの話し合いで作品の価格を決めています(1次流通)。作品は個展や展覧会への出展で公開されます。
STEP2.一旦、販売された作品が所有者やギャラリーの手を離れ、主にオークションで売買が行われ、価格が決まる(2次流通)
STEP3.上記で購入したギャラリーが再販したり、更に2次流通以降もオークションで売買価格が決められることが多くあります。
また、近年ではネットオークションやフリマアプリで、コレクター個人同士の売買も行われるようになっています。
・相場の傾向
現代アートの価値は常に変動する傾向にあり、相場は不確かで、不安定になっています。2次流通以降のオークションで売買される度に価格が変動するためで、2次流通以降で世の中の作品への需要(人気)が価格に反映されていくからです。つまりオークションにおいては、需要が大きいほどアート作品は高額になると言えます。
ただし、近年に作られている現代アートは需要が反映される時期に満たないケースが多くあり、現代アートは価値の高さが見出されるまでに、つまり人気が出るまでにある程度の時間が必要です。2次流通以降のオークションでは、メディアで注目されるなど売買のタイミングで突然価格が跳ね上がる可能性があります。また、キュレーターによって取り上げられたアーティストの作品が展覧会開催後に、価格が上がるケースもあります。
海外の有名な現代アーティストと作品
それでは海外の現代アーティストについて、代表的な作家と代表作品をご紹介します。彼らの作品の一部は、衣類や身の回りのグッズに使用されて、非常におなじみ深い方も多いと思います。
●ジャン=ミシェル・バスキア(Jean-Michel Basquiat, 1960-1988)
1970~80年代にかけてグラフィティ・アーティストとして活動したアメリカ人アーティスト。大活躍のさなかに27歳の若さで亡くなっていますが、1000点以上の作品を遺しています。現代アーティストのアンディ・ウォーホルとは共同制作を手がけるほどの親睦の深さだったと言われています。2016年に作品が62億円で売買され、2022年に行われたオークションで作品が約110億円で落札されたことでも有名です。バスキアの有名な作品には「無題」「黒人警察官の皮肉」「ハリウッド・アフリカン」などがある
●アンディ・ウォーホル(Andy Warhol, 1928-1987)
商業デザイナー・イラストレーターの経歴を持ち、アメリカのポップアートの象徴的なアーティストとして最も成功した人物として知られています。ポップアートは、大衆文化や日常生活にあるもの(広告、映画スター、消費財など)を題材にしたアートの形式で、商業デザインや広告、メディアのイメージを取り入れています。彼はシルクスクリーンという大量生産の技法を取り入れながら、固有の商品や有名人のイメージをアートとして再解釈する作品を数多く生みだしました。その結果、アートのあり方を根本から変え、大衆文化をアートに昇華させるという革新的な試みを成功させたと言われており、今日のアーティストにも強く影響を与え続けています。代表作に、「キャンベルスープ缶」シリーズや「マリリン・モンロー」といったシルクスクリーン作品があり、映画も製作していました。作品の一部は身近なポスターとして制作され、気軽に楽しむこともできました。
●キース・ヘリング(Keith Haring, 1958-1990)
1980年代のアメリカを代表するストリートアーティストです。ニューヨーク市の地下鉄や公共の場に描いた作品で注目されるようになりました。シンプルなラインや抽象的なシンボルを使った独特のスタイルで知られています。アートを通じて多くの人々にインスピレーションを与え続けており、その後のストリートアートやポップカルチャーに大きな影響を与えました。彼の作品は、視覚的にシンプルながらも深いメッセージを持ち、今日でも多くの人々に親しまれています。代表作に、「Radiant Baby(輝く赤ちゃん)」「Crack is Wack(クラックは危険)」などがあります。彼はアートを商品化し、手頃な価格で作品を販売しました。これにより、アートを大衆に広めることを目指しました。
●ジェフ・クーンズ(Jeff Koons, 1955年生まれ)
アメリカの現代アーティストであり、ポップアートとコンセプチュアルアートを融合させた作品で知られています。彼の作品は、消費文化、商業主義、キッチュ(俗悪なもの)、大衆文化をテーマにしており、視覚的に派手で巨大なスケールの彫刻やインスタレーションを特徴としています。代表作に、「バルーン・ドッグ(Balloon Dog)」シリーズや「Michael Jackson and Bubbles」などがあります。
●ダミアン・ハースト(Damien Hirst, 1965年生まれ)
イギリスの現代アーティストであり、1990年代に登場した「ヤング・ブリティッシュ・アーティスト(YBA)」の一人として国際的に注目されました。彼は死や生命、消費社会、医療技術、宗教などのテーマを探求する作品で知られており、特に動物の死体をフォーマルデヒド(防腐剤)で保存した作品や、金やダイヤモンドなどの豪華な素材を使った作品で有名です。
●バンクシー(Banksy)
イギリスを拠点に活動する匿名のストリートアーティストで、政治活動家、映画監督としても知られており、鋭い社会批評を込めたグラフィティ作品で世界的に有名です。彼は人知れず密かに、かつダイナミック・大胆に、壁や公共の場所に描き、それらが書かれた直後から話題になります。戦争、資本主義、環境問題、権力への批判を含むテーマを扱っています。屋外の空間を画面にした絵画で、一般の人たちでも身近に見ることができる作品が多くあります。代表作に、バルーンを持つ少女の姿を描いた「ガール・ウィズ・バルーン(Girl with Balloon)」や「ラット(Rat)」シリーズがあります。
その他、フランスやロシアなどでも、魅力ある独自の作風を持つ現代アーティストが生まれています。
日本の有名な現代アーティストと作品
引き続き、日本人アーティストについて、代表的な作家と代表作をご紹介します。
●草間彌生(1929年~現在)
長野県出身で、在学した京都市立美術工芸学校では日本画を専攻していました。その後、独自の絵画を展開し、国際的に高い評価を得て、「前衛の女王」とまで呼ばれる前衛芸術家となりました。1950年代から国内外の個展やビエンナーレなどで、水玉や網目模様、鏡、南瓜をモチーフにした絵画作品・立体作品・オブジェなどを発表しました。彫刻や絵画、インスタレーションやパフォーマンスなどの作品も手掛けており、表現方法が幅広い芸術家です。幼少期から統合失調症を患い、水玉で視界が覆われるなどの幻聴や幻覚に悩まされており、自身の幻聴や幻覚をアートとして表現しているとのことです。有名な作品として「黄かぼちゃ」「無限の鏡の部屋:ファリスの平原」「私の魂を乗せてゆくボート」などがあります。
●村上隆(1962年~現在)
東京都出身で、ポップアートと伝統的な日本の美術を融合させた「スーパーフラット」という独自のスタイルで知られています。彼は絵画、彫刻、インスタレーションからアニメやファッションコラボレーションに至るまで、多岐にわたるジャンルで活動しています。 日本の伝統的な美術と現代のポップカルチャー(アニメ、マンガ、オタク文化)を巧みに融合させた作品で人気を得ています。代表作に、「727」「ヒロポン」「お花シリーズ」があります。意外ですが彼は日本画の博士号を東京藝樹大学大学院で取得しており、弟の村上裕二は日本画家として活躍しています。
●奈良美智(1959年~現在)
青森県出身で愛知県立芸術大学美術学部修了の現代アーティストです。草間彌生、村上隆と並び日本における現代アートの旗手のひとりです。特徴的な大きな頭と大きな目を持った子どものキャラクターで知られています。見た目はかわいらしいものの、時には鋭い目つきや怒り、孤独、不安などの感情を表情で表現しており、観る者も自己の内面と向き合うような体験を得ることができる作品と言われています。代表作として「Knife Behind Back」や「Midnight Smoker」などがあります。
●名和晃平(1975年~現在)
京都市立芸術大学大学院美術研究科で博士号を取得しており、彫刻家として主に作品製作をしています。他にインスタレーション、映像作品などを中心に手がける多才なアーティストです。彼は、物質や視覚的な現象、テクノロジーをテーマに、現代のアートと科学技術を融合させた作品で知られています。特に、物質そのものの特性や表面の質感に焦点を当て、ミクロとマクロの視点を組み合わせた独自の表現スタイルを展開しています。また3Dプリンティングやデジタルデザイン、レーザーカッティングなどの最新技術を駆使し、従来の彫刻やアート作品にはない革新的な表現手法を模索しています。代表作に、 「PixCell」シリーズや「Biomatrix」シリーズがあります。
●杉本博司(1948年~現在)
写真作品で世界的に高い評価を得ている現代芸術家です。彼は時間、記憶、歴史、そして人間の存在といった哲学的なテーマを追求し、それらを視覚的に表現することに長けています。作品の根底には、時間や記憶、存在に対する深い哲学的な探求があり、それが彼の写真に反映されています。彼は、瞬間を捉えるだけでなく、時間そのものを記録し、またその流れや変化を視覚化しようとしました。
●ロッカクアヤコ(1982年~現在)
独特なライブペインティングパフォーマンスと、手に絵具をつけて直接キャンバスに描く絵画技法で知られています。時々、展示会やイベントで、観客の前で即興的に大きなキャンバスに手で絵を描くというパフォーマンスを行います。彼女の作品は、鮮やかな色彩と、無邪気で自由な表現が見る者に強い印象を与えます。また子どものような無邪気さや夢の世界を思わせるモチーフがよく登場します。彼女の描く人物には大きな目を持つキャラクターがおり、子どものような愛らしさやファンタジックな雰囲気を持っています。
その他、昭和時代には先駆者として具体美術協会などで芸術運動を展開していた白髪一雄や山口長男がおり、最近では束芋やKYNEなど多数の日本人現代アーティストがいます。
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