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底に見えるもの・井戸茶碗/高麗茶碗・大井戸・青井戸・小井戸・古井戸

●一井戸二楽三唐津
先のブログでは「一楽二萩三唐津」という日本で作られた抹茶碗の人気を順位で表現した言葉を紹介した。その一方で、「一井戸二楽三唐津」という言葉もある。これは国内外の焼成場所を問わずに茶碗の人気の順位を表現した言葉である。ここで注目したいのは、元々茶道が確立した時期の茶碗として主に用いられた天目などの中国より渡来した唐物が入ってこないことである。もうひとつは「井戸」という朝鮮の高麗茶碗がトップに挙げられていることである。
日本の茶人の心を掴んで離さない井戸茶碗について、今回は考察する。

●「井戸茶碗」とは
室町時代から江戸時代までの間には、朝鮮より数々の茶碗が渡来している。これらの高麗茶碗のひとつが井戸茶碗である。さらに井戸茶碗についてはその形状や特徴から、大井戸・青井戸・小井戸・古井戸などに分類されることが多い。大まかに共通する井戸茶碗の特徴としては、底部から口にかけて徐々に広がり、良く例えられるのが「朝顔」の花のような末広がりの形状である。特に上記の「一井戸二楽三唐津」として挙げられているのは口径15cmほどの大井戸と呼ばれる大型の茶碗である。この大井戸では国宝となっている「喜左衛門」と「有楽」という二碗がイメージしやすい代表選手だ。その他、大名や茶人が所持し、現在美術館・博物館所蔵となっている大井戸は多数ある。

●井戸茶碗の特徴
こうした大井戸の特徴としては次の点で共通するものである。
(1)梅花皮/かいらぎ
元々はサメ皮の粒状の表面を現した言葉であるが、井戸茶碗では高台の内外に釉薬が粒状になった梅花皮が生じたものが多い。この梅花皮はロクロで成形し、半乾燥状態で形状を整えるために、陶土を削り取った跡に生じている。つまり表面がなめらかな状態では基本的に生じにくいものである。実はこの状態が起こる原因として、下地の陶土が荒れているため焼成時に釉薬がしっかり融着せず、玉状に溶け残っている現象だと考えられる。また焼成時の窯の温度とも関係があり、より高温で焼成されたものには梅花皮は生じない。現代の萩焼でこうした梅花皮が再現しやすいのは、短時間でやや低温気味に焼成する萩焼の特徴に関係がある。
(2)井戸三段
茶碗の外側にロクロを弾いた指跡が三段の筋あととして残っていることを表す言葉である。必ずしも三本の筋として残っているものではないが、職人の手跡がそのまま残っている景色を昔の茶人はこう呼んでいた。これも蹴ロクロの緩やかな回転と関係しているものと思われる。
(3)竹の節高台
これもすべての大井戸の茶碗見られるわけではないが、高台の中ほどに竹の節のように突起状の筋が一周していることがある。これは茶碗を削りだす時に使用する道具が削り残した部分だと考えられる。また、きれいに仕上げないというのは、朝鮮陶工のおおらかさとも、スピードをもって数多く作らなければならなかった陶工の性質とも言われている。
(4)枇杷色
大井戸の陶土は枇杷色に焼きあがっているものがほとんどである。これは微量に鉄分を含む陶土で酸化焼成されたものの特徴で、萩焼とほぼ同じ色合いである。青井戸と呼ばれるものは、還元焼成によりややグレーに発色しているため青井戸と呼ばれるが、青井戸には大井戸のように、高さのある高台を持つものは無く、全体の高さも低く、いわば平茶碗の形状である点で大井戸とは異なる。

●井戸の名前
韓国の陶芸家により、韓国内にある「井戸谷」というところで井戸茶碗の残骸が見つけられ、その地名によってここで作られた茶碗が「井戸」と呼ばれるようになったという説が発表された。その妥当性は確かにあるような気がする。古来、日本の井戸何某が朝鮮から持ち帰り・所持したためだという説や、見込を覗くと井戸のように深いからだという説があった。
名前の由来はともかく、大井戸の見込の深さというのは確かに感じられるものであり、例えば萩焼の名工・14代坂倉新兵衛の井戸茶碗を覗くと、茶碗の見込の中心は高台の接地面とほぼ同じ高さのように感じられる。先細りの形状で遠近感の錯覚があるかもしれないが、他の陶芸家の作品でもやはり良い井戸茶碗を手にしてみると、このような深さの感覚に陥るものがほとんどだった。
実際に作る側として難しい点は、高台周囲以外に削ることないようにロクロを挽くことである。先に述べたように半乾燥の状態で行う削りのあとには梅花皮が生じている。つまりそれ以外の部分はロクロを挽き終えた時点で完成形にしなければならない。完成時の直径が15cmとすると、ロクロ挽きの時点では概ね17cmの直径で挽く。このサイズになると、井戸茶碗のように開いた形にして、なおかつロクロ後に手を加えない薄さに挽くことは容易ではない。なぜならこの開いた形状はロクロの遠心力によって縁が下方にへたり易いからである。やはり大井戸は技術ある名も無き名工の作品である。

 

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