印象派の基礎知識|印象派の作品の特徴や有名な画家・日本との関係

今から約150年前の1874年、クロード・モネ、エドガー・ドガ、ピエール=オーギュスト・ルノワール、カミーユ・ピサロといった画家30名によるグループ展がフランスのパリで開催されました。展覧会の正式名称は「画家、彫刻家、版画家などによる共同出資会社の第1回展」でしたが、これが印象派の画家たちが出展した最初の展覧会と言われています。
今回は、美術館で開催される展覧会では日本でもファンの多い印象派と呼ばれている画家やその作品をご紹介いたします。
印象派の基礎知識
印象派は、19世紀後半のフランスで登場したアートの流派で、印象主義と呼ぶことがあります。美術史上で、主に絵画において革新的な技法や視覚的アプローチが特徴と言われています。印象派絵画の画家たちは、従来のアカデミックなスタイルを超えて、光の変化や瞬間的な印象を捉えることを重視した芸術運動で、人気を博しました。印象派以前には、見たものをありのままに描くという写実主義が流行していました。
●印象派とは
印象派とは、光のきらめきや鮮やかさを大胆なタッチで表現する画風で、その絵画表現は、明るい柔らかな印象の作風と言えます。上記で述べましたが、19世紀後半に印象派の芸術活動が始まり、以来、印象派の画家たちの作品は世界中で人気を誇っています。
●印象派が革命を起こしたと言われる理由
この印象派の画家たちは、絵画芸術において革命家と呼ばれています。自然の光や色彩を追求した新しい表現方法を生み出したことによる評価です。印象派が生まれる以前の主流であった宗教画や歴史画と作風が大きく異なる表現です。19世紀に印象派が生まれたことは、新たな絵画の誕生とされています。
●印象派の活動が開始した際に起こったこと
当初、活動開始した印象派の画家による作品は酷評されていました。伝統や古典を重んじるフランスの美術界から理解を得られなかったためです。フランス芸術の世界では、王立絵画彫刻アカデミーが教える伝統的な手法や美しさが重視されていました。そのため、フランス絵画の王道とは異なる印象派の作風が受け入れられなかったとのことです。印象派の代表的な画家モネは作品が何度もサロン(フランス王家主催の公式美術展覧)に落選しました。
フランスの美術界に拒否された作品を、印象派画家自らの力で公開する試みで「印象派展」と後に呼ばれる展覧会を開いたことが、印象派のスタートです。印象派展に参加した画家は、モネ、シスレー、ルノワール、ピサロ、ドガなどでした。
●「印象派」という名前の由来
新聞記者ルロワが風刺新聞のシャリ ヴァリ誌に「印象派展覧会」というタイトルの記事を書いたことが、印象派の名前の由来とされています。ルロワがモネの「印象−日の出」をもじってつけたタイトルとのことですが、ルロワの記事タイトルがきっかけで印象派と呼ばれるようになったのです。先に記したように、印象派展の本来の名称は「画家、彫刻家、版画家無名芸術家協会展」だったのですが、その記事では、印象派の作品を酷評した皮肉な内容が書かれていたとのことです。
●印象派と日本との関係
モネをはじめとした印象派の画家たちは、日本の美術作品の影響を受けていると言われています。日本美術の浮世絵の空間表現や構図や色彩などが印象派の作品に取り入れられています。特に、モネはたくさんの浮世絵を収集していたことが知られており、その影響は絵画で垣間見られています。
印象派の作品の特徴
印象派の画家たちは、風景や日常の生活を描く際に、リアルな色や形を追求する代わりに、光と色の微妙な変化、空気感、そしてその瞬間に感じた印象を画面に表現しようとしました。
具体的には、ブラシストロークが短く、色を直接キャンバスに重ねる「点描」や「筆の跡を見せる」といった技法を用いました。また、従来の絵画では屋内で描かれることが多かったのに対し、印象派の画家たちは戸外での制作を好みました。
●自然の光や色を捉えた印象を表現している
印象派では、画家自身が日常の自然の風景や人物から受けた印象を絵画で表現しています。例えば、目の前に広がる光景を見て受けた感覚を表してた絵画を描いたり、水面の一瞬のきらめき、また日常のありふれた光景が描かれています。
●色を混ぜない
印象派の作品は、色を混ぜることなくキャンバスにのせ、光のきらめきを表現していると言われています。色を混ぜると光のきらめきを表すことが難しくなり、色は混ぜれば混ぜるほど明るさを失い濁るため、とのことです。 そのため、技法としては色を隣り合わせに塗ることで、遠目で見たとき目が錯覚を起こし、色が混ざり合って見えることを利用しているとのことです。これは印象派が新たに考案した技法で「筆触分割」と呼ばれているものです。印象が生まれる以前は、パレットの上で絵の具を混ぜ合わせて描く技法のみでした。
印象派の有名な画家
●クロード・モネ(1840年〜1926年)
印象派を代表する画家で、彼の技法や視覚的アプローチは、後の芸術家にも大きな影響を与えました。モネは、自然の中での光の変化に深い関心を持ち、それを絵画に表現することで、風景画に新たな視点をもたらしました。
自然や人の生活を描いた作風で、代表作には、「印象-日の出」「積みわら」「睡蓮」「ルーアン大聖堂」などがあります。「積みわら」「ルーアン大聖堂」は、同じ対象のものを異なる条件で描いた連作で、夜明け直後から日没までのさまざまな光の変化・天候の中で、対象のものを描き分けているます。
●ピエール=オーギュスト・ルノワール
フランスの印象派を代表する画家で、特に人物画や日常生活の温かい描写で知られています。彼は、印象派の技法を取り入れつつ、人物の表現に重点を置き、柔らかく華やかな色使いや光の効果を駆使して、生命力に満ちた作品を生み出しました。
作風としては、特に人々の顔や姿を描くことに優れ、彼の絵画には親しみやすく、幸福感あふれる雰囲気が漂っています。彼の作品は、明るく温かみのある色調が特徴で、人物が自然な姿勢で描かれ、社会的な情景や日常の一瞬を捉えています。
代表作として、「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」「午餐(ランチ)」「午餐(ランチ)」「午餐(ランチ)」があります。
●アルフレッド・シスレー
フランスの画家で、印象派の代表的な画家の一人です。シスレーは、風景画を中心に制作し、特に自然の光や色、そしてその変化に焦点を当てました。彼は、印象派のスタイルを忠実に追求し、光や大気の変化を捉えることに特化した作品を数多く残しましたが、人物画や静物画にはあまり取り組んでいません。
他の印象派の仲間たちとともに、自然光を表現するために「屋外写生(アン・プレニエール)」を行いました。シスレーの作風としては、特にその温かみのある色調と柔らかな筆致が特徴です。彼の絵画は、しばしば静寂で穏やかな風景を描き、自然の美しさを強調しています。
代表作としては、「ラ・ヴェリー・サン・マルタン」「セーヌ川の風景」「雪の上の風景」「ミューズ川沿いの風景」などがあります。
●カミーユ・ピサロ
デンマーク生まれのフランスの画家で、印象派運動の重要な人物の一人です。彼は「印象派の父」とも呼ばれることがあり、特に風景画や農民の生活を描いた作品で知られています。ピサロは、印象派の技法を最初期から採用し、またその後、ポスト印象派のスタイルにも影響を与えました。
印象派の特徴的な要素である光の変化や色の調和を重視しており、彼の絵画には自然の美しさや日常の生活を描くことに対する深い愛情が表れています。特に農村風景や田園風景、農民の生活を題材にした作品が多いのが特徴です。また、ピサロは他の印象派の画家たち(クロード・モネ、ピエール=オーギュスト・ルノワールなど)と密接に交流し、技法や視点を共有していました。
代表作としては、「赤い屋根の家」「午前の風景、パリ郊外」「農民の家族」「カーヴァリ・グラン(セーヌ川の風景)」などがあります。
●エドガー・ドガ
フランスの画家であり彫刻家で、印象派運動の主要なメンバーの一人として知られています。ドガは、風景画や静物画よりも、主に人物画を中心に作品を発表し、特にバレエダンサーや馬、日常生活の一場面をテーマにした作品で有名です。
印象派の技法を取り入れつつ、構図や形態における緻密な表現に重点を置きました。光の変化を捉えることよりも、動きや姿勢の表現に強い関心を持ち、彼の作品には独自のリアリズムが作風として感じられます。また、ドガは独特の視点を持ち、しばしば上から見下ろしたり、横から見たりする構図を用いて、動きや感情を強調しました。
代表作としては、「バレエのリハーサル」「踊り子たち」「競馬場の風景」「女性の浴室」などがあります。
●フレデリック・バジール
フランスの画家で、印象派の初期メンバーの一人として重要な役割を果たしました。バジールは、特に風景画や人物画を描いたことで知られ、彼の作品は、印象派の技法を取り入れながらも、より明快でリアルな描写が特徴です。彼はその短い生涯の中で、印象派の発展に多大な貢献をしましたが、残念ながら若くして戦争で亡くなってしまいました。
バジールは、他の印象派の画家たち、特にモネやルノワールと親しく、彼らとともに新しい絵画のスタイルを模索していました。光と色の表現に優れており、明るい色彩や自由な筆致で、瞬間的な印象を捉えることを目指しましたが、人物や衣服の描写においては、よりクラシックな要素も取り入れていました。
代表作としては、「家族の肖像」「アルジェリアの女性たち」「風景の中の女性」「モンマルトルの風景」などがあります。
●ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ
オランダ出身の画家で、ポスト印象派の最も重要な人物として、誰もが知る画家です。彼の作品は、明るい色彩、力強い筆致、そして感情的な表現が特徴で、後の現代美術に大きな影響を与えました。ヴァン・ゴッホの人生は波乱に満ちており、精神的な病や貧困に苦しみながらも、わずか10年余りの画業の中で約2100点の作品を制作しました。
ゴッホは、初期の写実的な作品から、次第に色と形に強い感情を込めた作品へと変化していきました。彼は、印象派の技法を取り入れつつも、独自のスタイルを発展させ、特に以下の点で特徴的です。
・力強い筆致と色彩:ヴァン・ゴッホは、筆を力強く使い、厚く塗り重ねた色を使用しました。これにより、作品には動きや感情が宿り、視覚的に非常にインパクトのある作品が生まれました。
・感情表現:彼の絵画は、しばしば感情や精神状態を反映しています。風景や人物を描く際には、対象そのものを描くのではなく、感情的に色や形を強調して表現しました。
・色の象徴性:色を感情やテーマに合わせて使うことで、彼は絵画をより個人的で内面的なものにしました。特に「黄色」や「青」などの色を感情的に表現することが多かったです。
代表作として、「ひまわり」「星月夜」「自画像」「アルルの寝室」「カラスのいる麦畑」などがあります。
なお、ゴッホやゴーギャン、セザンヌ、ルドン、マティス、ヴラマンク達はポスト印象派/後期印象派と呼ばれています。
一方、同時期に活躍したバルビゾン派なども風景画を描きましたが、印象派と一線を画しています。
さらに、1880年代から20世紀初頭にかけてフランスで興った絵画運動として新印象派が生まれました。ジョルジュ・スーラとポール・シニャックがこの代表的な画家として知られています。
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