加山又造とは?日本画に革新をもたらした作風や特徴・代表作

「昭和の琳派」と呼ばれる日本画家がいます。それが、加山又造です。華やかな色彩、装飾性豊かな様品は、まさに昭和版琳派ともいうべき作品でした。戦後、旧来の日本美術が否定されるなかで、新しい日本画を追い続けた画家であり、裸婦画や水墨画、陶器や和服の絵付、寺社の天井絵まで、さまざな美を体現していきました。今回は、日本画家・加山又造についてご紹介します。
加山又造とは?
昨年、広島の下瀬美術館で加山又造の展覧会が開かれていますので、本展の出品作品を見た方がいるかも知れません。また、京都・嵯峨野にある天龍寺に参拝された方がいらっしゃれば、こちらの法堂の天井に描かれた「雲龍図」で加山又造作品をご覧なっているかもしれません。
すでにお亡くなりなって20年を過ぎていますが、いまだ人気ある作品を製作した加山又造とはどのような人物だったのでしょうか。
●日本画の画家・加山又造(1927年〜2004年)
1927年(昭和2年)に加山又造は京都府に生まれました。京都市立美術工芸学校を経て、東京美術学校(現・東京藝術大学)に進学しています。卒業後は制作活動に没頭し、1997年には文化功労者として顕彰され、2003年には文化勲章を受章しています。
また、創作活動にとどまらず多摩美術大学や東京藝術大学で教授として教職に就き、後進の指導にも尽力しました。
その後、「現代の琳派」と称される独自の美を確立し、国内や海外で作品が高く評価されている日本画家となりました。
日本画の伝統を基盤にしつつ、西洋の技法やエアブラシを用いた革新的表現を追求しており、尾形光琳や俵屋宗達など琳派の構図を現代的に昇華させた、という評価がされています。
【画業の歩み】
1927年(昭和 2年) 京都市に生まれる
1940年(昭和15年) 京都市立美術工芸学校絵画科入学
1949年(昭和24年) 東京美術学校(現東京藝術大学)日本画科卒業、山本丘人に師事
1950年(昭和25年) 春期創造展で研究会賞受賞
1966年(昭和41年) 多摩美術大学教授となる
1988年(昭和63年) 東京藝術大学教授となる
1990年(平成 2年) BMW社から依頼を受けたアート・カーが展示
1995年(平成 7年) 東京藝術大学名誉教授となる
1996年(平成 8年) 「KAYAMA MATAZO New Triumphs for Old Traditions」が大英博物館で開催
1997年(平成 9年) 文化功労者として顕彰
2003年(平成15年) 文化勲章受章
2004年(平成16年) 肺炎のため逝去
●芸術一家に育った画家
祖父・田辺玉田(のちに加山姓に改名)は、狩野派の画師として活躍した人物であり、父・田辺勝也は、京都西陣の衣装図案家として、着物のデザインを手掛けていたとのことです。加山又造自身も、親族の姿をみて、幼い頃から絵に親しんでいたと思われます。
●日本画壇に革新をもたらした画家
加山又造が画壇にデビューした戦後の日本は、激動の時代ともいえます。芸術における西洋の文化が流入した結果、「伝統的な日本画は保守的で世界には通用しない」という批判にさらされることになります。「日本画滅亡論」さえ囁かれる中、加山又造は日本画の可能性を信じ、革新的な挑戦を続けました。西洋絵画の要素を日本画の表現に取り入れて革新的で多彩な作品を生みだした画家と言えます。
加山又造の作風・特徴
加山又造の画家としての特徴は、一つのスタイルに安住せず、約10年のスパンで作風を変化させていった点にあります。そのため、各時代時代での特徴的な画風があり、それぞれにファンがいることも事実です。
●1950年代
動物を主題とした作品を多く制作し、日本画の伝統的モチーフに対する独自の表現を追求しました。ラスコー洞窟壁画やブリューゲル、ピカソ、ルソーなどの西洋美術に触発された要素が、作品の随所に見られます。サイ、鹿、狼などの野生動物が多く描かれた時代です。
●1960年代
大画面作品や装飾性の強い屏風絵に取り組み、作風が大きく変化した時期です。琳派や大和絵の技法を現代的な感性で再構成し、独自の美を築きました。伝統を学びつつ独自に昇華させた表現が評価され、この頃から「現代の琳派」と称されるようになりました。
●1970年代
琳派的な装飾性に加え、裸婦や水墨画といった多様なテーマ・技法に挑戦し始めた時期となります。裸婦画では線描の美しさを追求し、透明感のある肉体美を描きました。1978年には東京国立近代美術館に「雪・月・花」の大壁画を完成、さらに水墨画にも本格的に取り組み始めた時期となります。
●1980年代
1984年、山梨県・身延山久遠寺の本堂天井画「墨龍」を完成させました。墨だけで画面に奥行きや動きを生み、独自の水墨表現に取り組んだと言われています。加山又造は水墨の中に、音色という色を感じ表現したと言い、「空気が動く霞が動く山が静まりかえる、音色というような色、人間が感じるもう一つの色の世界」との言葉で表現しています。
●1990年代
日本画の枠組みを超え、国際的な活動や異素材への挑戦を行い、芸術の集大成の時期となります。
1990年にはドイツのBMW社から依頼を受け、「アート・カー」を制作しこともあります。また、1997年には世界遺産である天龍寺の天井画「雲龍図」を完成させました。
加山又造の代表作
最後に、加山又造の代表作をいくつか挙げてみます。
●春秋波濤
1960年代に制作した代表的な屏風作品で、新しい日本画を目指し、琳派の装飾性を現代的に再構成しています。金箔・銀箔を大胆に使用し、力強い波のうねりや桜や紅葉といった日本の四季が描かれている作品です。
●冬
東京国立近代美術館所蔵の1957年製作の作品です。雪山と冬枯れた林、林にはキツネやカラスなどを配し、冬の寂寥感を醸し出しています。
●裸婦習作
1974年に制作されていますが、同タイトルの作品が複数存在しています。一人の裸婦を描いたものから、複数名の裸婦が描かれたものまで、様々ポーズと背景で描かれています。
●千羽鶴
1970年に制作された六曲一双の屏風作品です。まさに、琳派・俵屋宗達の千羽鶴を現代にアレンジした作品です。
●雪月花
こちらも同タイトルの作品が複数存在しています。代表的なものでは、大阪・金剛寺のやまと絵屏風に想を得て制作された、山と月を配した屏風絵があります。
●月光波濤
1979年に制作された、高い水しぶきを上げる海岸の岩場と、雲に霞む満月を描いた水墨画の傑作です。
●墨龍
先にご紹介した1984年製作の久遠寺の本堂天井画です。
●猫
こちらも同タイトルの作品が複数存在しています。猫の種類は主にヒマラヤンとシャム猫で、さまざまなポーズとともに、牡丹などの花や昆虫を描いた作品があります。
●雲龍図
先にご紹介した1997年製作の天龍寺の天井画「雲龍図」です。どこから見ても目が合う「八方睨み(にらみ)」の龍として有名であり、晩年の力作として誰もが認めるものです。
その他、黄山雲海や山岳を描いた作品、動植物の作品も製作しています。
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以上でご紹介したように、様々な技法とモチーフで私たちを魅了した加山又造の作品は今も人気です。掛軸や額装した作品のみならず、陶器・陶板や和服なども作品に該当します。
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