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リトグラフとは?価値の基準や絵画の特徴、有名な作家について

百貨店画廊や市中のギャラリーなどで「リトグラフ」と記載がある絵画を見かけたことはございませんか。リトグラフは版画作品に分類される絵画です。私たちが学校で製作したことがある木版画と比べると、あまり馴染みがないものかもしれませんが、その色鮮やかなリトグラフ作品は目を見張るものが多いと思います。今回は、リトグラフの技法やリトグラフ作品を目にすることかできる作家などについて、ご案内いたします。

 

リトグラフの基礎知識
絵画コレクターにはおなじみのリトグラフですが、そのそのリトグラフとはどのような版画の技法なのでしょうか。はじめにリトグラフの基礎知識について、ご紹介させていただきます。

 


●リトグラフとは
リトグラフ(Lithograph)とは石版画とも言い、石版や金属板などの平らな表面に描かれた絵やデザインを、印刷する技術です。水と油の化学反応を用いて作品を作り上げものです。簡単なものでは、版に水を弾く油性のインクやペンで下絵を描き、版画の色を出したくない部分を塗ると、その部分が版画のインクを弾くため、版画を刷り上げたときに空白となる技法です。製版を複雑にしていくと、版画の中でも繊細な質感と豊かな色彩表現が可能となる特徴を持っています。
リトグラフは同じ作品が数多く作れることが特徴です。基本的には1部のみの作品はありません。ただし、版自体が刷数増によってイタミが生じるため、概ね200枚までが同時に刷られます。
また、リトグラフは作家が自らの芸術表現技法として用いる場合と、オリジナル作品の油絵や日本画の複製品として制作する場合があります。現在、私たちが数多く目にするリトグラフは後者が殆どです。また、前者のようなリトグラフ専業の作家は少なく、シルクスクリーンや他の技法も用いる場合があります。さらには、ミクストメディアと呼ばれるリトグラフを含む他の技法を同時に用いた作品も近年では出てきました。

●シルクスクリーンとの違い
絵画の中で、リトグラフとならび、よく目にする作品にシルクスクリーンがあります。このシルクスクリーンの製作方法はリトグラフと大きく異なります。先に述べましたようにリトグラフは、簡単に言えば平らな石板や金属板の版面に特殊なインクを使用して絵を描き、水と油の反発作用を利用して転写するという原理で製作されます。一方、シルクスクリーンでは、簡単に言えば原画から絹やポリエステルの網目を塞ぐ部分とインクが通過する版を作り、インクを押し通すことで図柄を紙や布にインクを転写するという技法になります。

●リトグラフの歴史
リトグラフは、1796年にドイツのアロイス・ゼネフェルダーによって発明されました。石灰岩を使用したリトグラフの印刷技法で、彼は特許も取得しています。当初は、主に商業印刷や楽譜や地図制作に使われました。石版画は、手描きの原稿を再現するために非常に便利で、特にイラストやポスターの印刷に広く利用されるようになりました。
19世紀には、リトグラフ技術がさらに発展しました。特にフランスでは、印象派の画家たちがこの技術を用いて、彼らの独自のスタイルを表現しました。
20世紀には、ピカソやマルセル・デュシャンなどの著名なアーティストたちがリトグラフを利用して、新しい技法や表現を探求しました。特に、ポップアートやアブストラクトアートのアーティストたちは、リトグラフを使ってその芸術的探求を行いました。
日本では幕末から明治初期にかけてリトグラフが作られるようになりました。美人画や幅広い商業印刷物に用いられ、大正~昭和時代にかけて美術作品として活用されることが増えました。
現代では、リトグラフ技術はデジタル印刷技術と融合し、伝統的な石版による印刷に加えて、リトグラフのデジタル版も登場しています。

 

リトグラフの価値を定める基準は?
では、現在美術市場で流通しているリトグラフのどのような価値があるのでしょううか。その価値を決める要素について、ご紹介します。

 

●作家名
やはり人気のある作家の作品であることが第一の要素となります。これは、リトグラフに限ったことではありませんが、人気作家の作品は高額で取引される傾向があります。

●エディションナンバー
エディションナンバーとは限定部数を示す数字のことです。シリアルナンバーとも呼ばれ、一度に刷られた発行枚数が何枚であるかがわかります。一般販売されたリトグラフには必ずこのエディションナンバーが入ります。例えば、紙面の余白に「30/100」と記載があれば、100枚刷ったうちの30枚目という番号です。刷られた合計の枚数が少ないほど、希少性があり価値が上がりやすい傾向にありますが、巨匠作家の場合には、刷る回数が複数回に渡る場合があり、基本的には古い時期のものが価値があります。
●本人のサイン
エディションナンバーと併せて、原則として紙面の余白に作家本人の直筆サインが入ります。ただし、すでに作者がお亡くなりになっている場合には、こちらの記載はありません。当然、作者本人のサインがあると、価値が上がります。
●鑑定書や証明書の有無
当初よりリトグラフとして製作された作品、および一部の有名画家・巨匠作家についてはリトグラフに鑑定書が発行される場合があります。また、原画を元にリトグラフを制作する場合は、企画発行者が証明書を付けて販売するケースがあります。これらの書類が付属し、真作と認められている作品は価値が上がります。
●保管状態
基本的には、紙にリトグラフは刷りますので、日焼けや変色、退色、シワや虫食いなど紙面の状態が価値に影響します。やはり保存状態の良い作品は価値があります。額装作品であれば、額自体のキズ、ヨゴレも価値に影響します。
●E.A.などの記号の有無
上記でご紹介しましたが、エディションナンバーに代わって、下記種類の記号が紙面に書かれている場合があります。これはいずれも販売用として刷られたエディションナンバーの刷り数以外に別枠で少数刷られたものとなります。
*E.A.=フランス語の epreuve d’artisteの略で、版画の作家保存分。
*A.P.=英語の artist’s proof の略で、版画の作家保存分。上記と同じ。
*T.P.=英語の trial proofの略で、版画制作の過程で作られる試刷。
*P.P.=英語の printer’s proofの略で、版画の刷り職人のための作品。

 

リトグラフの有名作家
現在、美術市場で流通し、私たちが百貨店やギャラリーで見たり、購入できるリトグラフ作品の作家について、以下でご案内します。先に述べたましたが、ほとんどの方はリトグラフ専門の画家ではありません。また、画家本人が製作したリトグラフから、後世に再度版を起こしたリトグラフもあります。また上記でご紹介しましたが、リトグラフの技法自体がデジタル化されており、特に物故作家であれば限りなくリトグラフに近い印刷物・ポスターがありますので、どの技法による作品なのかについて、購入時には十分注意が必要です。

 

●海外の有名な作家
・ロバート・ラウシェンバーグ
20世紀のアメリカで活躍した現代芸術家。日本では知名度が低いのですが、特徴的な構図や動きが魅力的な作品が多い作家。
・クリスチャン・ラッセン
現在まで活躍しているアメリカの画家で、「マリンアート」と呼ばれるイルカなどを描いた作品で知られています。日本ではバブル時代に展示販売会が各地で開催され、多数の作品が購入されました。
・ジャスパー・ジョーンズ
抽象表現主義とポップ・アートをつないだアメリカの現代芸術家です。「ネオ・ダダ」と呼ばれた芸術運動家の一人。
・マルク・シャガール
20世紀を代表するロシア生まれのフランス画家。絵画は、色彩豊かで幻想的な要素が強く「色彩の魔術師」と呼ばれる一方、夫人への愛や結婚をテーマとした作品を多く製作しており、「愛の画家」とも呼ばれました。
・アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック
フランスの後期印象派の画家です。19世紀末から20世紀初頭に活躍しました。彼の作品は、パリのナイトライフや演劇の世界を描いき、ポスター美術でその名を馳せました。
・パブロ・ピカソ
20世紀を代表するスペイン出身の画家・彫刻家であり、現代美術の巨匠です。「キュビズム」「シュルレアリスム」など、さまざまな美術様式において革新的な作品を生み出しました。
版画も自分の芸術の表現手段として取り組み、リトグラフにも優れた作品を残しています。

●日本の有名な作家
・草間彌生
1958年から活動している現代美術の人気画家。水玉模様を使用した作品が特徴で、作品の制作発表の手段としてリトグラフを積極的に活用しています。
・天野喜孝
現代日本の画家・イラストレーター。当初、アニメのキャラクターデザインを仕事としており、独立後、ゲームのキャラクターデザインや舞台衣装なども手掛けています。原画をリトグラフとして複製し、販売しています。
・平山郁夫
昭和から平成時代の代表的日本画家。シルクロード作品で知られています。日本画を本画としてリトグラフ作品が数多く製作されています。
・東山魁夷
「国民的画家」と呼ばれた昭和を代表する日本画家です。青を多用した作品が多く、この色を適切に再現したリトグラフ作品が数多く製作されています。

その他、ミュシャ、カシニョール、ヒロ・ヤマガタ、村上隆、ベルナールといった作家の作品が人気です。

 

リトグラフを高く売るポイント
では、お手元にご不用のリトグラフ作品がある場合に、高く売るためのポイントとなるコツを挙げてみます。遺品や転居の整理などに備えて、今すぐでなくとも、参考として覚えていて損はありません!

 

●汚れはそのままにしておく
もし、紙面にカビや汚れが付いていた場合、自分で除去や修復を行うことは避けましょう。専門家以外が修復作業を行うことで、かえって価値が下がってしまうケースがあります。カビや汚れは査定額が下がる要因になるため、できるだけ綺麗に保管しておくことが大事です。特に、掛けて飾っていた場合、長期保管の場合、湿度には注意が必要です。
●鑑定書や証明書を用意する
鑑定書や証明書は作品が本物であるという証明となり、高評価となります。買取査定に出す前に、証書をチェックしましょう。有名作家の作品は、リトグラフでも贋作の場合があります。鑑定書や証明書があることで絵の価値が上がりやすい、と言えます。リトグラフの場合は、一部の巨匠作家を除いて、作家が亡くなっている場合、正式な鑑定は難しいのですが、公的な機関で鑑定書を発行してもらえるかもしれません。絵を購入した画廊で証明書を発行している場合もありますので、購入時の記録があれば相談してみることもよいでしょう。
●買取実績が豊富な店を選ぶ
では、どこに買取査定に出すか、ということは次の事項を参考にしてください。まず、実績が多いお店や経験豊富な鑑定士が所属する買取業者を選ぶことが大切です。リトグラフに限ったことではありませんが、その価値を正しく鑑定してもらうために査定を出す美術品のエキスパートを選びたいものです。インターネットや折込チラシなどで過去の買取実績や絵画買取の分野に強いお店か判断すると良いでしょう。

以下、過去の「お役立ち情報」ページも参考してください。
絵画の価値基準や価格を決めるマーケット、鑑定や買取の注意点
URL:https://kotto-kotaro.com/news/detail/kaiganokachi/

絵画の買取相場はどう決まる?価格を左右する要素や高く売るコツ
URL:https://kotto-kotaro.com/news/detail/kaigakaitorisouba/

 

お手元のリトグラフは価値を見極めて、適切な買取店で査定してもらおう!
以上で、リトグラフとはどのうな絵画であるか、また美術市場でどのような作品が流通しており、お手元にリトグラフ作品があれば、どのようなものに価値があるかが理解していただけたものと思います。ただし、実際の作品を見て、リトグラフかどうかについて正確に判断することは難しいと思いますので、もしご売却・ご処分をお考えでしたら、美術品の買取専門店にご相談・査定依頼をすることがよいと思います。遺品・生前整理のため、リトグラフを売ることをお考えでしたら、ぜひこたろうにご相談ください。

 

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