上村松園とは?代表作品と作風、美人画の芸術性とその背景

明治以降の近代日本画家において、美人画で知られる画家で、女性画家としてまず第一に挙げられるのは上村松園です。彼女の作品は、女性の美しさや品格を繊細に描いた作品で知られ、日本美術史において非常に重要な人物とされています。また、明治時代は女性の社会進出が困難だった閉鎖的な時代であり、日本画界においても男性画家中心でしたが、女性の活躍できる道筋を作り上げたことも評価される点です。今回は上村松園についてご紹介します。
上村松園(うえむら しょうえん)とは
今年は、上村松園が誕生して150年の節目であり、各地で作品展が開催されています。美人画というと、まずは上村松園の作品を思い出す方が多いのではないでしょうか。まず始めに、上村松園の生い立ちから、作品を生み出す背景を探ります。
●生い立ち
上村松園は、1875年(明治8年)京都・下京区四条通の葉茶屋(茶葉を売る店)に生まれました。本名は上村津禰(つね)といいます。父は出生の約2か月前に亡くなり、母・仲子が松園を女手ひとつで育て、絵の学びを支え続けたそうです。多くの女性が絵を趣味としてとどめる時代に、松園は正規の教育と師事を重ね、専門家としての道を切り拓きました。息子の上村松篁と孫の上村淳之も日本画家であり、孫の上村淳之とともに、三代にわたり創作が受け継がれました。1949年(昭和24年)に逝去しました(享年74)。
●師と学び
1887年に京都府画学校(現:京都市立芸術大学)に入学し、鈴木松年に師事しました。翌年に退学して松年塾へ入ります。のちに幸野楳嶺に学ぶが幸野楳嶺の逝去により、1895年から竹内栖鳳の門下に入りました。三人の師から得た四条派の技法と新しい試みが、のちの松園らしい画風の土台となりました。
●受賞歴と公的評価
1890年(明治23年)15歳で『四季美人図』を第3回内国勧業博覧会に出品し、一等褒状を受けました。同作が来日中の英国王子アーサー・コノート公に買い上げられ、大きな話題となりました。
以後、公募展での入選や受賞を重ね、美人画家としての評価を確かなものにし、1948年(昭和23年)には、女性として初の文化勲章を受章しています。
上村松園の作風
上村松園の作品には、静物画がありますが、多くの作品は人物画、特に女性を描いた作品です。単にモデルの女性を描いたものではなく、それぞれ関連する衣服や小物、髪型などは事前に描きためた写生がベースとなっており、これらを統合して絵画が作成されているようです。
以下では、上村松園の作風の特徴についてご紹介します。
●気品のある美人画
明治時代の日本画において美人画の多くは、花魁などを題材にした風俗画を現代風に解釈したものでした。しかし、松園は日常の女性を主題に描いた作品を多く手掛けています。
浮世絵の構図や技法に影響を受け、胸から上を画面いっぱいに描く大首絵も、松園作品の特徴です。背景を省き、人物を大きく配置する構成が多く、抑えた色彩と美しい線で、顔立ちや衣装の魅力を際立たせています。また、能楽などの古典文化を学び、その要素を絵画に取り入れています。代表作「序の舞」では、従来男性が演じていた役を女性像として再現するなど、独自の解釈を加えた作品を生み出しています。
●写実へのこだわり
上村松園は、日本髪の細部までリアルに描き、ぼかし技法で生え際の柔らかさを丁寧に表現しました。着物や帯の柄、女性の仕草まで徹底的に描写し、すべて毛筆のみで繊細な細線から太線まで自在に操ることで、独自の表現を生み出しました。
上村松園の代表作
以下では、上村松園の代表作をいくつか挙げてみます。美術館の展覧会などで展示された作品で見られた方も多いと思います。
●序の舞(1936年、国指定重要文化財/東京藝術大学大学美術館所蔵)
松園61歳のときに完成させた代表作であり、「謡曲三部作」のひとつに数えられる舞をテーマにした作品です。描かれた女性のモデルとなったのは、息子・松篁の妻「たね子」でした。扇を手に日本舞踊を舞う令嬢の姿を描いた作品で、松園が追い求めた理想の女性像が表現されている、と言われています。
●母子(1934年、国指定重要文化財/東京国立近代美術館所蔵)
最愛の母、仲子を亡くした年に描かれた作品で、第15回帝展に出品されました。母への追悼の思いが込められている一枚であり、これをきっかけに母という存在を題材とする作品を描くようになりました。
●焔(ほのお、1918年)
能楽「葵上」(源氏物語を題材とした謡曲)に登場する六条御息所から着想を得て制作された作品です。顔は青白く、吊り上がった眼には裏側から金泥が施されており、謡曲の師である金剛巌から学んだ、能面における嫉妬の描写を反映していると、言われています。松園にしては珍しい「狂女もの」とされ、明るい色彩は影を潜め、蜘蛛の巣模様の着物や暗色の背景が凄絶な美を生み出している作品です。
●楊貴妃(1922年、松伯美術館所蔵)
松園は漢学を学んでおり、白楽天の「長恨歌」に着想を得て制作した作品です。湯あみを終えた楊貴妃が女官に世話される場面を描き、柳眉や切れ長の目、ほのかな微笑みに気品と優雅さを漂わせている作品です。
その他、足立美術館所蔵「娘深雪」、山種美術館所蔵「新蛍」が知られています。また、4年前には「清少納言」という作品が新発見され、ニュースとなりました。
女性美を追求した芸術家・上村松園の作品はお持ちでないでしょうか
上松園の作品の中心は、ほとんどが「女性像」です。しかしその女性たちは単なる美人画ではなく、気品・清潔感・内面的な強さを備えた理想的な女性として描かれています。描かれた女性は現代の日本人が憧れる気高さを感じる作品であり、こうした松園の作品は現在でも非常に高額で取引されています。
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