掛け軸の価値の見分け方は?本物と偽物を判断する基準を紹介
お手持ちの掛け軸について「そもそも本物の作品なのかな?偽物かもしれない」「掛け軸を見分けるにはどうしたら良いんだろう」と不安になりますよね。
掛け軸は経年変化を楽しめる美術品ですが、気づかないうちに劣化が進んでいる可能性も充分考えられるため、注意が必要です。
そこで本記事では、掛け軸の価値を見分ける方法や、売却時に重要なポイントについて詳しく紹介します。
読み終えることで、お手持ちの掛け軸が本物かを見分ける方法が分かり、買取査定の準備を始められるようになります。ぜひ、最後までご覧ください。
本物?偽物?価値がある掛け軸の見分け方4つ
お手持ちの掛け軸に価値があるかを見分ける方法として、下記の4つが挙げられます。1つずつ確認していきましょう。
- 制作された年が古い
- 印刷ではなく肉筆である
- 著名な作家の作品である
- 入手経路が正規ルートである
制作された年が古い
掛け軸は制作された年代を含めて、希少性(流通量)があるかで価値を見極めます。なぜなら掛け軸は劣化しやすい骨董品に該当するからです。
古い年代に制作された掛け軸ほど、当時の状態で残っている作品が少ないため、価値が高くなるといえます。
中でも掛け軸の年代は、描かれた画風やモチーフが年代のヒントとして注目されることが多いです。また、作者名がわかれば、その生存期間からも年代がわかります。
代表的なモチーフの例として、山水や花鳥、宗教色の強さなどが挙げられます。道釈人物画や吉祥画などでも判断できるでしょう。
印刷ではなく肉筆である
掛け軸の価値は、筆跡の癖や特徴を読み取って判定するケースもあります。
拡大鏡やルーペを使用し、作品の濃淡が何で表現されているかを確認します。線で描かれている場合は肉筆、点で描かれている場合は印刷と判断できるのです。
なお、掛け軸が肉筆か印刷かを見分けるのは難しく、専門家や鑑定士によって判断するのが一般的な方法となっています。
お手持ちの掛け軸が印刷か肉筆かを確認したい方は、専門家に依頼するのをおすすめします。
著名な作家の作品である
掛け軸の価値は作者名で見分けられ、さまざまな骨董品の鑑定に共通する方法です。有名作家の作品は、必然と価値が高くなります。
具体的な方法は、作者の情報である「落款」や「署名」に注目して判断します。絵画の隅や保管されてた木箱に記されているため、一度確認してみましょう。
なお、落款・署名どちらかが記された掛け軸もあり、著名な作家ほど似せて作られた贋作が多いようです。
価値のある掛け軸か見分けるには、作者名の特定が重要ではありますが、素人が読み取るのは難しいといえるでしょう。
入手経路が正規ルートである
掛け軸の価値は、入手した方法から見分けられる場合もあります。お手持ちの作品がどのような所有者を経て手に入れたのか、確認してみましょう。
特に、美術館や博物館に収蔵されていた作品や、有名な美術コレクターが所蔵していた作品は評価が上がります。
また、個展や企画展などの画集に掲載されていた作品も、評価が上がるケースがあるようです。美術商の値札や購入時の書類が残っていないか確認するのをおすすめします。
正規の入手経路は、作品の信憑性が高まる重要な判断材料の1つです。
掛け軸の価値は中国の作品が高い
現在、掛け軸は日本の作品よりも、中国の作品に価値があるものが多いとされ、世界各地のコレクターに注目されています。
日本と中国の違いとして「詩の有無」と「絵のタッチ」が挙げられます。日本の掛け軸は、南画を含む一部を除いて「絵画」と「書」を分けて描いている作品が多いと言われています。
加えて、日本の掛け軸は水墨画を連想させる色の濃淡が特徴的であり、繊細な色使いが施されています。
一方、中国の掛け軸は、書画と絵画を取り入れた独自の画法によって描かれています。力強い絵のタッチと、大胆な色使いも特徴の1つです。
なお、お手持ちの掛け軸が中国の作品なのかは、下記の内容からも判断できます。
- 掛け軸を巻くときに持つ部分が大きい
- 掛け軸の最上部につける表木が四角い
- 掛け軸を壁にかけたときに30センチ以上あまる/やや短めである
掛け軸を価値がある状態で売る方法
続いて、お手持ちの掛け軸を価値がある状態で売るための方法を紹介します。内容は下記の5つです。
- 付属品も保管しておく
- 無理に手入れをしない
- 手に入れた経緯を把握する
- 複数の作品をまとめて売る
- 骨董品買取専門店で売る
付属品も保管しておく
掛け軸を売る際は、付属品が揃っている状態であることがポイントです。作品が収納されていた木箱や書類、鑑定書などと合わせて売却しましょう。
なぜなら、掛け軸から作者や年代が読み取れない時でも、付属品から割り出せる場合があるからです。共箱にも落款やサインが書かれていることが多く、近現代の作家は、共箱が無い場合、買取金額が下がてしまう傾向にあります。
また、鑑定書も掛け軸が本物である証明になり、共箱と鑑定書がない作品を買取対象外としている店舗もあるようです。
さらに、共箱や鑑定書が偽造された作品も存在するため、安易に売却しないように注意しましょう。
特に鑑定書は、特定の画家に精通した「所定鑑定人」の判断でないと価値が見出せないこともあります。
無理に手入れをしない
シミや汚れがある掛け軸は、芸術品としての価値が下がってしまうため、買取価格が下がります。表装が劣化した掛け軸は見栄えが悪いため「修復してから売却しよう」と考える方もいるでしょう。
しかし、掛け軸を価値がある状態で売るためにも、無理に手入れをしないことが大切です。
なぜなら掛け軸のシミや汚れには、さまざまな原因が予想され、素人が取り除くのは難しくからです。かえって状態が悪化し、価値が下がってしまいます。
特に、新しい時代の掛け軸は、保存状態が悪いと価値が下がりやすく、買取不可となるケースも考えられます。
また、掛け軸の表装にはさまざまな種類があるため、年代を知るヒントにもなります。一度、本紙や表具にシミ・汚れがないかをチェックし、無理な手入れは控えましょう。
手に入れた経緯を把握する
お手持ちの掛け軸を手に入れた経緯を把握しておくのも、売却時の重要な要素といえます。なぜなら価値が高い作品ほど、偽物が多く出回っているからです。
掛け軸が本物だという信憑性を高めるにも「どのような経緯で、ご自身の手元にあるか」を、鑑定士や専門家に伝えられるようにしておくことが重要です。
例えば、知人から譲り受けた掛け軸なら、知人がどのような経緯で手に入れていたのかを詳しく聞いておきましょう。
万が一、過去の持ち主が亡くなっている場合は、手に入れた経緯に記録が残っていないか確認したり、繋がりのある知人や家族を訪ねたりするのが有効です。
信頼のおける人や美術商、百貨店などから手に入れた掛け軸であれば、本物である可能性が高まります。
複数の作品をまとめて売る
複数の掛け軸や骨董品を所有している場合は、まとめて売ることで買取額を上げられます。
なぜなら買取店側の人件費や、鑑定のための手間が削減されるからです。買取店によっては、コスト削減によって査定額が加算される場合もあるでしょう。
さらに掛け軸のみのまとめ売りをした場合、より買取価格がアップする可能性があります。
掛け軸以外に売りたい骨董品・美術品がある方は、骨董品を幅広く取り扱っている店舗を利用して、まとめて売却するのをおすすめします。
骨董品買取専門店で売る
掛け軸を価値ある状態で売るためにも、骨董品専門店を利用するのをおすすめします。専門的な知識と経験がない店舗では、掛け軸の価値を見極められない可能性があるからです。
特にリサイクルショップに持ち込んだ際は、本来価値が高い作品でも、安く買取られてしまう可能性があるため注意しましょう。
加えて、フリーマーケットやネットオークションなどでは、ご自身で買取価格を設定する必要があります。売却の手間がかからない反面、相場よりも安く売り、損してしまうリスクが考えられるでしょう。
骨董品専門店を利用して、トラブルなく適正価格での買取を実現できるのです。
価値がある掛け軸の売却方法3種類
ここからは、価値がある掛け軸の売却方法を3種類ご紹介します。ご自身の生活や作品の状態に合わせて活用しましょう。
- 店舗買取
- 出張買取
- 宅配買取
店舗買取
店舗買取は、掛け軸を買取業者に直接持ち込み、売却する方法です。鑑定から査定、買取までを短時間で完結できるメリットがあります。
また、鑑定士の方と直接やり取りできるため、インターネット上での売却よりも安心して利用できます。
一方、大きな作品や複数の作品を一度に持ち込むのが困難であるのがデメリットです。運搬中に破損するリスクもあるため、梱包する方法にも注意しましょう。また、一般的にクーリングオフができないことにも注意が必要です。
出張買取
出張買取は、買取業者のスタッフや鑑定士が、利用者の自宅を訪問して鑑定する方法です。作品を梱包したり、店舗まで品物を運んだりする作業が発生しないメリットがあります。
サイズが大きい作品や、複数の作品を売却したい方におすすめの買取方法といえるでしょう。ウェブ上で申し込みできる店舗が多いため、自宅で売却を完結できる手軽さも魅力の1つです。
一方で、悪質な取引をしている業者が出回っている懸念点があります。優良な業者を見極めて利用することを念頭に置いておきましょう。
宅配買取
宅配買取は、買取の申込み後に梱包材を使用して、作品を送る買取方法です。出張買取同様に、ご自宅で取引が完結するメリットがあります。
加えて、対人でのやり取りがないため、気を遣うことなく、ご自分のペースで利用できるのもメリットといえます。
注意点は、査定額に満足できなかった場合、返送手数料が発生する傾向があることです。かえって損してしまうリスクがあるため、事前に買取業者に問い合わせて確認しておくと良いでしょう。
また、梱包にかかる手間や、配達中に作品が破損してしまう可能性もあります。配送時のトラブルを考慮して配送保険を適用できる配送業者を利用しましょう。
掛け軸の価値の見分け方に関する質問
最後に、掛け軸の価値を見分ける方法に関する質問を3つ紹介します。下記の疑問に関する回答を通して、不安を解消していきましょう。
- 掛け軸の相場はどのくらい?
- 掛け軸の裏打ちとは何か?
- 文字のみの掛け軸に価値はあるのか?
掛け軸の相場はどのくらい?
著名作家によって制作された掛け軸なら、数百万円で取引される場合もあります。
例えば、横山大観や上村松園、伊藤若冲などの作品なら、200万円〜1,000万円ほどで取引される傾向があるようです。上記を含め、美術品オークションに出品される有名作家の掛け軸なら、数百万円〜数千万円の買値が付くこともあるでしょう。
しかし、作品の劣化が酷い場合は買値が下がり、作者が著名でない場合には、1つ数千円で取引されるケースもあるため注意しましょう。
また、劣化の程度により、買取業者によっては「市場に流通させても売れる見込みがない」と判断され、買取不可になることもあるようです。
掛け軸の裏打ちとは何か?
掛け軸の裏打ちとは作品の裏に紙を貼り、補強する作業の総称を意味します。綺麗な状態で保管・鑑賞をするために欠かせない作業です。
例えば、薄手の紙を使用した作品の場合、シワやたるみが生じやすい懸念点があります。裏打ちを施すことで、作品の劣化や変形を防ぐ効果が期待できるのです。
通常、専門業者が仕立てた掛け軸はこの裏打ちがされているものとなります。
文字のみの掛け軸に価値はあるのか?
文字のみが描かれた掛け軸も、高い価値がある作品と判断される可能性は十分あります。
文字だけが描かれた掛け軸には、書や古筆、短冊などのさまざまな種類が存在します。一般的には、色鮮やかな風景が描かれた作品よりも、簡易的で価値が低そうな印象を受けるでしょう。
しかし著名作家や制作された年代、保存状態によっては、収集用や観賞用として高い価値がつきます。特に、現代書家の作品は、その文字自体が現代アートとして評価されます。
また、茶道の茶室にある掛け軸である「茶掛」は、「書」を取り入れた作品が多く、お茶を嗜む方に重宝されることがあるようです。
まとめ
本記事では、掛け軸の価値を見分ける方法や、買取のポイントについて詳しく紹介しました。
掛け軸の価値を判断する要素は複数あり、素人で見分けるのは難しい傾向があります。骨董品の中でも劣化しやすく、偽物が多く出回っている懸念点もあります。
ご自身の力のみで、掛け軸価値の見分けるのが困難な場合は、無料鑑定を利用するのをおすすめします。
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