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掛け軸の正しい保管方法とは?手入れのコツや手順まで解説!

掛け軸を外して保管する上で「きれいに収納する方法が分からない」「ただ箱にしまうだけで良いのかな、劣化しないか心配」と悩みますよね。

本記事では、掛け軸の正しい保管方法や、収納するためのポイントについて詳しく紹介します。

本記事を読み終えることで、掛け軸の保管方法について理解し、掛け軸を収納するための準備をはじめられるようになります。ぜひ、最後までご覧ください。

掛け軸の保管方法|気をつけたい4つの要素

まずは、掛け軸の保管をする上で気をつけたい4つの要素を紹介します。

  • 虫の発生
  • 汚れ・変色
  • 折れ・破損
  • カビ・シミ

それでは順番に確認していきましょう。

虫の発生

掛け軸の保管は、虫の発生に注意して行う必要があります。掛け軸に使用されている和紙は、シミゴキブリシバンムシなどの好物だからです。

虫に食べられた部分は穴が空き、掛け軸としての価値が下がってしまいます。

また虫の糞は、汚れの原因にもなるため、掛け軸に虫が発生しないよう保管することが大切といえます。

汚れ・変色

掛け軸は直射日光を避けて保管しましょう。掛け軸の素材である和紙や絹は、長時間日光に晒されることで、変色してしまうからです。

加えて、掛け軸に触れる際は、手の汚れを十分に落としてから行う必要があります。手に食べ物や化粧品などが付着していた場合、掛け軸が汚れてしまうからです。

掛け軸の保管は、清潔な空間で行うことが大切であると意識しておきましょう。

折れ・破損

掛け軸に物理的なダメージを与えてしまうと、折れや破損の原因になるため注意が必要です。

折れた部分は劣化するスピードが上がるため、保管する際は、ぶつけたり落としたりしないように取り扱いましょう。

なお、一度折れができた掛け軸は、解体・修復作業が必要になってしまいます。掛軸を巻いて収納する際は、本紙部分には極力触れず、芯棒の両端(軸先)を持って巻くのがポイントです。また、あまり強く巻き過ぎないように注意しましょう。

カビ・シミ

掛け軸は、カビやシミの発生にも注意する必要があります。湿気の多い場所通気性の悪い場所を避けて保管しましょう。

掛け軸の素材である紙は、水分に対してデリケートであるため、汗をかいた手や濡れた手で触れると、シミの原因になります。

また必要以上に湿気を帯びた掛け軸は、乾燥時に歪んでしまう可能性があります。

掛け軸をかける壁にカビや汚れがある場合は、アルコール類などで除菌し、汚れ移りを防ぐことが大切です。

掛け軸を保管する手順5ステップ

次に、掛け軸を保管する手順を以下の流れで紹介します。

  • 事前準備
  • 掛け軸を外す
  • 掛け軸を巻く
  • 掛け軸を収納する
  • 虫干しをする

それでは、1つずつ解説していきます。

事前準備

まずは、掛け軸を取り扱う空間を整えておくことが大切です。掛け軸に直接風が当たらないようにしましょう。

特に扇風機やエアコンなどの強い風が当たった場合は、掛け軸が極度に乾燥し、変形する恐れがあります。

また雨の日や湿度が高い日は、掛け軸の取り扱いを避けましょう。収納箱にカビが生える可能性があるからです。

掛け軸の収納は、空気が乾燥した晴れの日にすることをおすすめします。

掛け軸を外す

掛け軸を外す際は、柔らかい羽ほうきを使って、表面についているホコリを払ってから外しましょう。

また、近くに矢筈(やはず)を設置し、脚立や踏み台なしで掛け軸を外せるようにしておくのもポイントです。

踏み外しや転倒による破損を未然に防ぎ、安全な状態で作業することを心がけましょう。

掛け軸を巻く

取り外した掛け軸は、以下の手順に沿って巻いていきましょう。

  1. 左右の風帯(ふうたい)を表木(ひょうもく)に沿って、根本部分から真横に折りたたむ
  2. 風帯(ふうたい)の左側が下、右側が上の状態で重なるようにする
  3. 折りたたんだとき、風帯が掛け軸からはみ出すほど長い場合は、はみ出ている部分を内側へ折り返す
  4. 桐箱から巻紙(まきがみ)を取り出し、重ねた風帯の間に差し込む
  5. 巻紙が掛け軸の中央にくるように、位置を調整する
  6. 風帯が緩まないよう指で押さえながら、掛け軸をゆっくり巻いていく

掛け軸を収納する

最後に、巻き終えた掛け軸を付属の箱に収納しましょう。

桐箱に収納するのが理想ですが、ない場合はプラスチックケースで代用できます。防虫剤防虫香を入れて、虫の侵入を防ぐのも効果的です。

なお、掛け軸を収納した箱は、湿気の少ない常温の場所にしまいましょう。床に近い場所は湿度が高いため、押し入れの上段への収納をおすすめします。

虫干しをする

掛け軸を箱に収納して保管した後は、しまい込みすぎに注意しましょう。

なぜなら、掛け軸の巻き癖が強まり、傷めてしまう可能性があるからです。

年に1〜2回を目安に、空気が乾燥した日は虫干しを行いましょう。直射日光を避けて、日陰に掛けておくと長持ちします。

巻いた掛け軸を保管する方法3種類と特徴

ここからは、巻いた掛け軸を保管する3種類の方法と特徴を紹介します。

  • 桐の箱
  • 二重箱
  • 太巻き

各収納方法の違いについて、ここから詳しく解説します。

桐の箱

桐箱は掛け軸に限らず、骨董品や宝飾品の保管に最適な収納方法です。防湿や防虫、耐火性に優れています。

桐には「タンニン」という成分が含まれているため、掛け軸を湿度から守り、腐りにくく、長く持つ効果があります。

また、桐には「セサミン」「パウロニン」が含まれ、虫よけ効果があるのも特徴の1つです。

さらに桐の細胞は、空気を多く含んでいるため断熱効果に優れ、内側を火から保護することもできます。

二重箱

二重箱は、掛け軸を保管した桐箱を、塗箱へ収納する方法です。塗箱に使用されている漆は、防虫・防腐効果が期待できます。

桐箱単体での保管よりも、より安全性に優れた掛け軸の保管が可能です。

近年は二重箱の代用として、ボール紙でできた畳箱(たとうばこ)に桐箱を納める方法が浸透しています。

太巻き

太巻きは、掛け軸を巻く芯に桐の太い棒(太巻芯)を使用して巻く保管方法です。掛け軸が折れにくくなる効果があります。

細く巻かれた掛け軸は、張りによって負荷が大きくなり、折れやシワを引き起こします。直径を大きくして巻くことで、掛け軸の負担を軽減し、きれいな状態を保てるのです。

なお、巻いた後の掛け軸は、他の収納方法と同様に桐箱で保管します。

高額な作品には、太巻きが販売時にセットされている場合があります。

掛け軸の保管方法についてよくある質問

最後に、掛け軸の保管方法に関する質問を紹介します。

  • 掛け軸に使う防虫剤は着物用でも良いのか?
  • 掛け軸はどのように掛けるのが正しいのか?
  • 掛け軸はかけっぱなしにしても良いのか?
  • 掛け軸は自分で修復可能か?

上記4つについて順番に回答していきます。

掛け軸に使う防虫剤は着物用でも良いのか?

掛け軸を収保管するために、着物用の防虫剤を使用するのは避けましょう。

なぜなら、着物用の防虫剤は掛け軸用とは成分が異なるからです。

着物用の防虫剤は、化学成分が気体になって効果を発揮するため、デリケートな掛け軸への使用は、変色シミの元となります。

掛け軸用の防虫剤(防虫香)は、天然香木からできた自然由来の防虫剤です。掛け軸を傷めることなく保管するためにも、、専用の防虫剤を使用しましょう。

掛け軸はどのように掛けるのが正しいのか?

掛け軸の正しい掛け方は、以下の5ステップで完了できます。参考にしてみてください。

  1. 掛軸を箱から取り出し、軸部分を床に置く
  2. 掛け軸の巻紐を解いて広げる
  3. 矢筈(やはす)に掛け軸をかける
  4. 両手で掛け軸をもち、少しずつ垂れ下げる
  5. 巻き癖が気になる場合は、軽く逆巻きをする

掛け軸はかけっぱなしにしても良いのか?

掛け軸は長期間出したままにしている場合、反り変色シミが発生する可能性があります。

空気中の水分や細菌、ホコリなどとの接触が多く、酸化やカビの繁殖が早まるからです。

特に梅雨の時期は、湿度の高くなるため、掛けっぱなしにしないよう注意する必要があります。

掛け軸の劣化を防ぐためにも、3日に1度は外して休ませるようにしましょう。

掛け軸は自分で修復可能か?

掛け軸の修復はご自身で行わず、専門業者に修復を依頼するのがおすすめです。

掛け軸の状態を保護しながら修復するためには、専門的な知識と技術が必要とされます。

中でもシミや変色は、複数の要因で発生しているケースがあるため、修復に使用する薬品の見極めが重要とされています。

ご自身で修復することで、掛け軸の状態が悪化してしまうでしょう。手を加えたり放置したりせず、状態が悪化する前に修復を依頼しましょう。

まとめ

本記事では、掛け軸の保管方法や、保管する際の注意点などを紹介しました。

掛け軸はデリケートな骨董品の1つであり、さまざまな劣化の原因を考慮して取り扱う必要があります。

万が一「きれいに保管できる自信がない」「保管に手間がかかるなら、掛け軸を手放したい」と考えている方は、買取業者への売却をおすすめします。

骨董品買取こたろうでは、骨董品の価値を考慮して、納得のいく取引を提供しております。

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