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掛け軸とは?各部位の名称や種類、知っておきたい飾り方のマナー

最近では床の間があるお宅は少なくなってしまいました。それでも、地方の親族のお宅を訪ねていくと、床の間とそこに飾ってあった日本画や書の記憶がある方は多いものと思います。かつて日本人は、季節や日々の生活の中で絵や書の掛け軸を楽しむことが普及していたということになります。
一般的に今では美術館やギャラリーでの作品展以外では見ることが少なくなってしまった 掛け軸ですが、昭和以前の日本画では、掛け軸の作品が多く、特に縦長の構図を生かした日本画は、掛軸ならではの世界です。
「温故知新」。今回は古来から日本にある掛け軸を知ることによって、その魅力を改めて覗いていきましょう。

   

掛け軸とは?
 

掛け軸とは、絹本や紙本・本紙に描かれた絵画や書(文字・文章・詩・和歌・俳句など)を布や紙などの表具に貼り、床の間などに飾れるように仕立てたもののことです。木のじくに巻き付けてコンパクトに収納できるようになっているところは保管上のメリットがあります。
日本での飛鳥時代、6世紀頃に中国から伝わった仏教美術において、絹や紙に仏教の絵画や文字が描かれ、これがのちに掛け軸として日本にも伝わりました。したがって、掛け軸はもともと仏具であり、礼拝の対象でした。そのため、中世の掛け軸には仏画が多くなっています。
以降、絵画や書の装丁・保存形態として、日本で独自の発展を遂げ、掛け軸は美術品としての価値を高めていきました。西洋では絵画の発展とともに、額自体も絢爛豪華になりましたが、掛け軸においても装丁に使用される布地や軸先などの材質に工夫をこらすなど、本体である水墨画や浮世絵などの価値を高めるための補完品としての役割も果たしていました。また、掛け軸は茶の湯において千利休以来の大事な茶道具の一つでもあります。

 

掛け軸を構成する部位の名称

はじめに掛け軸はどのようなパーツで構成されているかを解説します。大和表装と呼ばれる、日本における掛け軸の表装です。
さまざまな格式がありますが、代表的なものを下記に挙げます。

  

 

本紙書や絵画などが書かれた作品そのもののこと
一文字本紙の上下に横長で付いている布のこと
本紙の左右の部位のこと
中廻し本紙が貼られている部位のこと
天地中廻しの上部、および下部
風帯八双・表木から下がる2本の細い帯
風帯の先端の房
八双掛け軸上部の棒
掛紐掛け軸を掛けるために八双に取り付けられている紐
掛紐を通すために八双に取り付けられた金具
軸木掛け軸最下部の丸い芯木
軸先軸棒の両端に取り付ける装飾
巻緒掛け軸を巻いて固定するための紐

 

掛け軸は大きく分けると次の2種類の部位によって構成されています。
1.本紙:紙に書かれた書画や絵など作品そのもの/絹布に書かれた場合は絹本
2.表紙:本紙以外の部位の総称
掛け軸を鑑賞・評価するためには、本紙だけでなく表紙部分の美しさも基準となります。
特に、表装に用いられている布地/裂地や軸先の材質などが見どころです。

  

掛け軸の主な種類

 
それでは掛け軸にはどのような種類があるのでしょうか。
主に慶事・弔事のために使用されるものと、時季を味わうためのものがあります。
その他、特別な目的で掛けられるものがありますので、まずはそれぞれの代表的な掛け軸の図柄の種類を挙げてみます。

 
1.慶弔のための掛け軸
●祝儀掛け
結納や結婚、正月などお祝い事がある日に飾る掛け軸です。
題材としては、縁起が良いとされる松竹梅や鶴亀、旭日、高砂(翁・嫗)などが書かれたものです。
●節句掛け
主に、桃の節句と端午の節句として、子どもの成長を願うための掛け軸です。
前者として、雛人形や夫婦雛を描いたもので、後者は鯉の滝登りや武者絵、鎧兜を描いたものとなります。
●仏事掛け
法要や弔事、お盆やお彼岸などに飾られる掛け軸です。仏の姿やハスの花、書などものです。

 

2.時季・季節を味わうもの
●花鳥画
鳥と草花を描いたものです。
●動物画
動物を描いたもの、龍や麒麟など想像上の動物を描いたものもあります。
●山水画
山間を流れる河川と山岳を描いたもの、花や紅葉、雪などと合わせて季節感を出します。
●風景画
田園風景や山林、草原など。家屋や人々と合わせて描くことがあります。

 

3.その他
●神仏画
掛けるお宅の宗教・宗派に沿った画題のものです。神様・ご本尊となる仏像の姿を描いたものや、曼荼羅、名号など宗教に関係する文言が書かれたものです。仏壇の中や、側に掛ける小さなものもあります。また、極めて特殊なものですが、法名や命日を記載した法名軸という位牌の代わりに仏壇内部に掛ける小さな掛け軸があります。
●書画
書かれている文字作品を鑑賞するものです。書家が筆で描いた文字・文言・言葉を味わうものと、絵とともに書が書かれたものとなります。
●茶掛け
茶道では掛け物・掛物と呼ばれるもので、お茶室に掛けられるものです。お茶会やお茶席の趣旨に沿った掛け軸が掛けられます。
中国や日本の禅宗の禅僧、および茶人による筆跡・禅語が多く掛けられますが、茶道に関係する言葉が描かれた手紙などが用いられる場合があります。

 

その他、中国で描かれた文人画、人気現代画家による抽象画作品など、長い歴史の中でモチーフは広がりを見せています。

 

掛け軸を飾る際のマナー

 
掛け軸を楽しむためには、取扱いに注意することが必要です。基本的には、年間を通して同じ掛け軸を掛けるのではなく、交換しながら楽しむことも大切です。ここでは、掛け軸の取り扱い方と楽しみ方をご案内します。

  
●掛け軸は床の間に飾る
床の間とは和室にある一段高くなったスペースのことです。掛け軸のほか、花や置物などを飾り、来客をもてなすための設えです。ただ、マンションはもちろんのこと近年建てられた日本家屋でも、床の間を設ける家主は少なくなっています。こうした、床の間がないお宅の場合は、掛け軸に相当する高さや幅に合うサイズの壁面に飾ることも可能です。
●掛け軸に影が映らないようにする
掛け軸の前の床の間に置いた花や置物の影が、掛け軸に映り込むことがあります。これは見栄えが悪く、掛け軸の飾り方として正しくないことです。掛け軸以外の置物の位置を調整して影が映り込まないようにします。
●専用の道具(矢筈)を使って飾る
掛け軸を掛ける床の間の壁面には無双釘が打たれ、掛け軸の掛紐を掛けるようになっています。この釘に紐を掛ける時には、紐を傷めないように金具がついた矢筈という棒を使用して掛けます。
●季節に合わせて掛け軸を掛け替える
前述のように掛け軸の絵は季節を表した作品が多くなっています。したがって、季節季節で掛け軸を掛けかえて楽しむことがよいでしょう。もちろん無季の作品もありますが、日光に当てすぎないことと、桐箱などに保管中の湿気を逃す意味合いで、適宜掛けかえていくほうが、作品の保護のためには必要なことです。

 

掛け軸とは四季を室内で楽しむための文化 その魅力にあなたも触れてみませんか?
 
上記で掛け軸の知識と楽しむ方法をご案内しました。床の間がなくても適当な場所や壁面があれば、ポスターやタペストリー的にお楽しみいただくことが可能です。
最近では、家屋の洋風化に伴い、掛け軸を手放される方が多くなってきました。古美術店や骨董市などで、手頃なお値段で手に入れる事ができるかもしれません。
チャンスがあれば、掛け軸で日本の四季をお楽しみください。

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