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35mmの謎/フィルムカメラ・ライカ・コンタックス

●カメラフィルムの今

「4枚増えて値段は同じ どっちが得かよーく考えてみよう」

「美しい人はより美しく、そうでない方はそれなりに写ります」

今となっては知る人も少ない写真フィルムのCМのセリフである。今でこそ、富士フィルムとして社名に残り、写真用フィルムを作るメーカーとして国内に一社だけ存在するが、コニカミノルタという電子機器メーカーの「コニカ」とは写真フィルムメーカーの名称であった。アメリカでは、フィルムの代名詞とも思われたイーストマン・コダックも一度倒産し、現在は規模の小さい会社ではあるが、こちらのフィルムもまだ生産されている。一方、欧州ではドイツのアグファフォトというメーカーがあり、フィルムの製造販売は行われているものの、富士フィルムがOEM供給するなどしている。

また、最近人気が復活しているとのうわさを聞くが、「写るんです」などのレンズ付きフィルムがかつて大流行し、観光地の売店でも手軽にとれる写真として多くの人に購入され、利用されていたことは今も懐かしい。

●35mmの呪縛

現在ではデジタルカメラがカメラの代名詞ということには誰も異存がないであろう。しかし、そのデジタルカメラでもフィルムカメラの呪縛から逃れられていない規格がある。デジタルカメラのカタログを見ると、「フルサイズ/35mmフルサイズ」という言葉が出てくる。このフルサイズとは、光を電子信号として変えるセンサーのサイズのことで、フィルムカメラが撮影範囲として採用している縦24mm、横36mmのことを指す。また、フィルム写真で使用するフィルムは縦巾35mmのため、35mmフィルムと呼ばれているが、これをとって35mmフルサイズと呼ぶのである。

では、なぜ基本的にフィルムカメラの規格を基準にデジタルカメラが生産されているかというと、それはレンズが長期にわたり35mmフィルムカメラを基準に製作され、オートフォーカスというピント調整技術も含めて完成度の高いレンズができているということに他ならない。したがって、フィルムカメラの時代のレンズはマウントアダプターというアタッチメントが必要だったり、機能の一部が制限されるものはあるが、その多くはデジタルカメラでも使用できるものがほとんどである。

●ライカの誕生

写真機が開発されたころは、一枚ごとの感光紙や乾板に光を当て撮影していたが、映画が開発されるとそのフィルムをロールとして組み込み撮影できる、写真用カメラが開発された。当時そのなかで主流となる映画用フィルムの巾がまさに35mmであり、以後、この35mm巾がフィルムカメラのスタンダードなる。ただし、映画は縦巻きであり、一方写真は横巻の違いがある。

今から約100年前、1925年、ドイツのエルンスト・ライツ社は十年余りの研究開発の末、この35mmフィルムを使用するカメラの発売にこぎつける。これが今現在でもカメラのトップブランドとして認知される「ライカ/Leica」の誕生である。この名称はライツのカメラ/Leitz Cameraの略号であった。実は、このライカ以前にも、アメリカでは35mmフィルムが使用可能なカメラは発売されていた。しかし、ライカは、精巧さ、コンパクト、使用可能なレンズの種類などを含めたブランド力でカメラ業界をリードしていくことになる。さらにこの後、1954年に発表された「ライカM3」によって、トップメーカーとしての地位はゆるぎないものになっている。当時、日本でもカメラメーカーがいくつもあり、ライカが採用していたレンジファインダータイプのカメラを製作販売していくが、このM3の成功によって、日本のカメラメーカーはライカとの競争を避け、一眼レフカメラの開発に注力していくことなったと言われている。逆に言えば、ライカは一眼レフのカメラも開発しているが、一眼レフがカメラの主流になってからは、カメラのトップメーカーといえばキャノン、ニコンという日本のメーカー名が挙げられるくらいの優位性が確立できたのである。

●コンタックスという戦争遺児

1846年、光学機器メーカー「カールツァイス」が誕生している。「ツァイス」というブランドは今日でもレンズ関係では一目置かれるトップブランドである。組織的には1900年以降に紆余曲折あったが、グループ企業「ツァイスイコン」が1932年に「コンタックス」というブランドでカメラを発売している。当時、ライカのライバルと言われたブランドの誕生である。しかし第二次世界大戦でドイツは分割され、このツァイスイコンも分割された。西ドイツのツァイスイコンから発売されていたカメラは1961年で製造販売を休止している。その後、日本の企業・ヤシカや京セラがコンタックスブランドでライセンス製造をしたが、今日ではそのコンタックスブランドを持つカメラは販売されていない。

それでも、カメラファンはコンタックスの名前は記憶にあり続ける。それはツァイスのレンズの優秀性とクセにある。クセは欠点でもあるが、「味」でもある。それがコンタックス/ツアイス・カメラファンの心を掴んで離さない。今でもオートフォーカスの効かないツアイスレンズをデジカメに繋いで写真撮影する猛者がいるくらいである。

 

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