• 店舗ブログ/更新情報

棟方志功の作品の価値は?代表作と「セカイのムナカタ」の特徴と魅力


「わだ(我)ばゴッホになる」。青森県で生まれ育った棟方志功が21歳の時に上京して画家を目指したときの言葉として有名です。実際には洋画家を目指していた棟方でしたが、生まれながらに弱視というハンデを背負いながら、木版画の第一人者として成功し、日本のみならず世界に知られる芸術家として評価されるようになりました。昨年は棟方の生誕120年にちなみ、各地を巡回した記念展覧会が開催されましたので、棟方作品をご覧になった方も多いと思います。今回は「セカイのムナカタ」とも称される棟方志功についてご紹介します。

  

棟方志功について
●棟方志功とは
棟方志功(むなかた しこう)は1903年9月5日、青森県で生まれました。幼い頃から近視のうえに視力が弱く、57歳の時には左眼を失明したにもかかわらず、20世紀の美術を代表する世界的巨匠の1人といわれている日本の版画家です。特に木版画の分野で高い評価を受けた芸術家です。棟方の作品は、民間信仰や仏教的テーマを中心に、強いエネルギーと独特の表現力を持つ線と形で描かれています。棟方は木版を彫り込んで、インクを塗り、紙に写すという一般的な版画技法を用いましたが、特に自作の版画は「板」の性質を活かして制作することから「板画」と自ら称しました。棟方の生む板画は国内外で高く評価され、特に1956年のヴェネツィア・ビエンナーレで国際版画大賞を受賞したことで、国際的な名声を得ました。1975年(昭和50年)に都内の自宅で亡くなりました。

●棟方志功の主な来歴
1903年:9月5日、青森県で生まれた 子どもの頃から絵を描くことが好きで、絵画を独学で勉強した
1921年:中学校の美術教師から洋画について学び、ゴッホの『ひまわり』に感銘を受けて「わだばゴッホになる」と油絵画家を志した
1924年:画家を目指して上京
1926年:川上澄生の版画「初夏の風』に触れ、版画家への道を歩むことを決意
1928年:版画家平塚運一のもとで版画を学び始める
1930年:国画会に版画を出品し、主要作品を発表し始める
1936年:国画会の出品作『大和し美し(やまとしうるわし)版画巻』が出世作となり、柳宗悦や濱田庄司、河井寛次郎ら民芸運動指導者に注目される
この頃から柳たち民藝運動の指導者らとの交流が始まり、以後の作品制作に多大な影響を受ける
1939年:『釈迦十大弟子』を制作
1945年:東京代々木の自宅が空襲で消失 戦前の作品や板木のほとんどを失う 4月から戦後までの6年間は富山県へ疎開している
1975年:日展常任理事となる 9月13日、肝臓癌のため東京都杉並区の自宅で死去
1975年:日展常任理事青森市に「棟方志功記念館」が開館

●受賞歴
1928年:第9回帝展で『雑園』が初入選
1938年:第2回新文展に『善知鳥(うとう) 』を出品、特選受賞
1941年:第5回佐分賞受賞
1952年:第2回ルガノ国際版画展(スイス)で日本人初優勝賞を受賞
1955年:第3回サンパウロ・ビエンナーレ国際美術展で版画部門最高賞を受賞
1956年:第28回ヴェネツイア・ビエンナーレで日本人初の国際美術展で国際版画大賞を受賞
1965年:朝日賞(文化賞)を受賞
1970年:毎日芸術大賞・文化勲章受賞 文化功労者として顕彰される

   

棟方志功の作風について
棟方志功の板画作品は、他の版画家にない作風で人気を得ています。弱視のため、版木にほほを擦り寄せるように彫っていた姿が偲ばれる力強い彫刻刀の跡が魅力です。
また、画題としては宗教の影響を強く受けるようになりましたが、これは戦中戦後に疎開していた新潟県都南市福光での宗教者との交流が強く現れていると思われます。
以下では、棟方志功板画の特徴についてご紹介します。

   

●棟方志功作品の特徴
基本的には、版木の彫り取られた部分と版木の彫り残された部分で刷られる黒と白を基調とした一般的な版画作品のスタイルですが、ダイナミックで力強く迷いのない線と大胆な構図が特徴的で誰が見ても棟方志功の作品だとわかる作品が多く残されています。
板画は初期のころは、版木に塗られた黒一色だったが、のちに黒色で摺り上げた版画の裏面に彩色する「裏彩色」も用いるようになりました。なお、作品にサインを入れ始めたのは1955年前後、戦前のものにはサインがないと言われています。
また、棟方の作品には、少数ですが油彩画や倭画(やまとが)と自ら称した墨彩画などの自筆・肉筆の作品が残されています。特に倭画は木版画以上に筆の勢いを感じることができることから、美術市場では人気の高い作品です。

●頻繁に描いたテーマ
棟方の作品は、宗教的・精神的なテーマにしたものが多く、西洋絵画を超えたいという願いと、古来からある日本独自の美を表現したいという想いがあり、菩薩や仏像、女性が多く描かれています。特に女性の顔をアップして捉えた「柳緑花紅」などの大首の作品は、ふくよかで愛らしい顔立ちで描かれており、人気が高い作品の一つです。
また、作品に詩を彫り込み、文字と絵とのコラボレーションにも取り組んでいます。特に詩人・佐藤一英の長編詩『大和し美し(やまとしうるわし)』に感動し、この詩を全20柵墨刷り一色の版画巻に彫り上げた作品が残されています。

●棟方志功の作品の魅力
棟方志功の作品は尊敬していたゴッホにも通ずるといわれる骨太で力強い独創性を持つと言われています。当初、洋画家を目指して帝展に出展するも落選が続き、日本人特有の木版画に自分を見出したとのことです。更に、民族運動の中心として活躍した柳宗悦に見出され、柳に大きく影響を受け、伝統的な版画の枠を超えて独自の表現を追求していきます。1942年以降、自身の作品を「版画」ではなく「板画」と称し、木版画の特性を最大限に活かした技法と美学を確立しました。この言葉の変更は、自身にとって単なる呼称の変更以上の意味を持っていたようです。

●棟方志功作品が観られる主な所蔵美術館
棟方志功の作品を見ることができる美術館は以下のところがあります。
1.青森県立美術館
初期の油彩画『八甲田山麓図』や、木版画『勝鬘譜善知鳥版画曼荼羅(しょうまんふうとうはんがまんだら)』、晩年に描いた木版画の大作『花矢の柵』などを所蔵しています。なお、青森市にあった棟方志功記念館は老朽化により2024年3月に閉館しており、こちらで所蔵していた作品と資料を青森県立美術館に移しました。
2.やまとーあーとみゅーじあむ(埼玉県秩父市)
現在では、棟方志功の作品については質・量ともに日本有数といわれている美術館です。棟方志功の代表作品のひとつ『梨牟醐華妃神の柵」や、『秩父夜祭の柵』、『善知鳥双妃図』などを所蔵しています。

   

棟方志功の代表作
それでは、棟方志功の代表作についていくつかご紹介いたします。こちらの作品は同時または後刷りされた作品があり、美術市場で流通している作品もありますが、どちらも非常に高額で取引される作品となっています。
   

●『二菩薩釈迦十大弟子 全十二柵』
制作年:1939年作、1948年改刻
どんな作品か:中央に十大弟子、六曲一双屏風にするために、右側に文殊、左側に普賢の二菩薩を追加して仕立てた作品です。1956年「第28回ヴェネツィア・ビエンナーレ」で日本人初の国際版画大賞を受賞し、「セカイのムナカタ」を知らしめる作品となりました。なお、もともとは1939年に作成された作品でしたが、文殊菩薩・普賢菩薩の2作品の版木が戦災により焼失されたため新たに1948年に改めて作成されました。
作品の背景:東京国立博物館に展示されていた興福寺の十大弟子、特に須菩提から着想を得て制作されたものです。
所蔵美術館:改刻前の作品は、青森県立美術館、總持寺、富山県美術館など
改刻後は青森県立美術館、宮城県美術館、南砺市立福光美術館など

●『女人観世音板画巻 仰向妃の柵』
制作年:1949年作
どんな作品か:裸体の女性を観音様と重ね合わせて詩とともに描いた作品です。1952年スイス・ルガノ版画展で優秀賞を受賞。
作品の背景:戦前「女人芸術」創刊号の扉を飾った岡本かの子の詩「女人ぼさつ」を読んだ棟方が、この詩をテーマとして1949年に「女人観世音板画巻」8柵 (題字などを加え12柵)が制作されました。
所蔵美術館:高岡市美術館など

●『東海道棟方板画』
制作年:1963-64年作
どんな作品か:現代の東海道五十三次ともいえる版画で、各地の風景を板画としたもの。
作品の背景:駿河銀行から依頼され、7回の写生旅行をして完成させた連作。

●『大世界の柵』
制作年:1963年作/1964年刷り
どんな作品か:神が暮らす天上の世界と人間が暮らす地上の世界が描かれた作品。当初「坤こん-人類より神々へ」」が制作され、後に「乾けん-神々より人類へ」が制作され二部作となりました。
作品の背景:当初倉敷国際ホテルのロビーを飾るものとして「坤こん」が制作され、大阪万博のために1969年には版木の裏を使用して「乾けん」が制作されています。
所蔵:倉敷国際ホテル所蔵

●『禰舞多運行連々絵巻』
制作年:1964年
どんな作品か:青森市のねぶた祭りを描いた全長約17mの倭画
作品の背景:ねぶた祭りという伝統的な日本の祭りや儀式を、棟方独自の視点で描いています。
所蔵美術館:青森県立美術館

  

現代における棟方志功作品の価値
棟方志功の死から50年になろうとしている現在でも、棟方の作品は人気があり、美術市場でも非常に高額で取引されている作品が多くあります。では、なぜこれらの作品が高い評価を受けているのでしょうか?

  

●棟方志功の作品は、現代においても変わらぬ価値を持ち続けている
棟方志功の作品は日本の伝統的な美術技法とモダニズムの融合という点で特に重要視されているという面があります。特に、板画の彩色は刷られた紙ごとに異なる彩色をしており、その違いから同じ版木を下に生まれた作品ながらも、個別の作品として完成されています。こうした技法やモチーフの独自性から、他の版画家にない唯一無二の棟方板画が生まれ、絵画買取の市場でも、棟方志功の作品は非常に高い価値があるものとして、取引されています。

●棟方志功の作品は日本国内のみならず、海外でも高く評価されている
先にご紹介したように海外の作品展での受賞から「セカイのムナカタ」と呼ばれる世界的な版画家の一人となっています。現在でも、海外においても棟方志功の人気は非常に高く、コレクターが多数います。

   

棟方志功の作品は価値を見極めて、信頼のできる買取業者を通じて、次世代へ引き継ぎを!
棟方志功の作品は、板画や倭画、油彩画以外にも屏風や掛軸、さらには色紙まで多彩な作品が残されています。そして、未だ美術市場では人気があるため、もし棟方作品がお手元にあればお宝となる可能性があります。ご処分をお考えの棟方志功作品はございませんか?そのような際は、ぜひこたろうまでご相談ください。
ただし、これらの作品には棟方以外の手による贋作が非常に多く存在します。そのため、美術市場に流通させるためには鑑定書が必要となります。もし、お手元に棟方の作品があるようでしたら、手放す前に鑑定をお取りすることをお勧めいたします。こたろうではご売却いただく際に、鑑定書取得の代行もさせていただいております。

骨董品買取こたろうでは棟方志功作品のご売却・ご処分を承ります。
棟方志功作品のご処分なら、経験豊富なプロ査定士/鑑定士/専門家が在籍し、安心・便利で実績ある買取専門店・骨董品買取こたろうにお任せください。
価値不明でも棟方志功作品の鑑定から買取り価格の提案まで、親切丁寧に説明対応いたします。
作品を拝見し、詳細豊富な買取相場データから弊社査定員・スタッフが適正適切、満足いただける査定価格・買取価格をご算出提示します。お値段が納得できなければ、お断りいただいても大丈夫。また写真での査定もお手軽でおすすめです。
こたろう店舗での店頭買取や自宅への出張買取、宅配買取・郵送での買取方法に対応いたします。
全国出張料無料・手数料無料・無料査定で納得の高値買取の当店をご利用ください。ご都合が悪くなってもキャンセル料もなし。一切費用なし。棟方志功作品以外もご相談ください。

  

《買取品目の例》
絵画(西洋絵画・洋画、日本画、水墨画、油彩画、版画)、掛け軸・掛軸、屏風、現代美術・現代アート・現代アーティスト作品、西洋アンティーク・西洋美術、中国骨董・中国美術、陶磁器(瀬戸焼・備前焼・九谷焼)、ブロンズ彫刻・置物作品(ブロンズ、仏像)、ガラス工芸、鉄瓶・銀瓶、花籠 茶道具(茶碗・茶釜・香炉・花入/花瓶)、食器・漆器(蒔絵)、刀剣・刀装具、根付、象牙製品、翡翠、珊瑚、香木、切手・古銭、ビスクドール、工芸品・古美術品・骨董品の高価買取対応しています。
アンティーク家具、お酒、ブランド品、宝飾品、貴金属、金製品・銀製品など買取などさまざまなお品物も買取実績が豊富な当店にご相談・お問合せください。
ご自分のコレクションのみならず、未額装の絵画、ご実家の倉庫にあった多数・大量のお品物の査定やご処分、ご売却・現金化などにも対応可能です。
国内外の大手オークションへの出品もお気軽にご相談ください。

  

骨董品買取こたろう|確かな目利きで高額査定
URL: https://kotto-kotaro.com/contact/

WEBからメール、LINEで簡単査定! 24時間受付中!お気軽にどうぞ!
お問い合わせ・ご予約 店舗電話受付時間 9:30-18 0120-922-157