終活で行う生前整理とは?やり方やポイント、遺品整理との違い
10数年ほど前から、よく耳にする言葉となった「終活」。人生の終わりである「死」に向けて、特に残された家族・親族に負担をかけないように準備をする活動として知られるようになりました。また、その記録として作成される「エンディングノート」も多くの方に知られるようになりました。特に「生前整理」は終活の一環として、現在自分の身の回りにあるものを整理していく、大切な準備の一つです。今回は、お役立ち情報満載で、生前整理の考え方や方法について解説します。
“終活”の一環である「生前整理」とは?
生前整理は、自分の死後に備えて、自分が生きているうちに身の回りの物事や状況を整理し、老後や未来のために備える行動を指します。生前整理は、主に身の回りの物や財産の整理を行っていくことです。広い意味ではこうした物理的な整理だけでなく、感情や人間関係に関する整理も含まれることがあります。万が一に備えて、お若い方でも時に「どうする」という知識は持っていて損はありません。ここでは、特に前者の物や財産の生前整理について、以下でご紹介していくことにいたします。
●生前整理が重要な理由
では、生前整理はなぜ大事なのでしょうか。生前整理は、実際にお亡くなりなった後に、住居や生活用品などの遺品整理を行う際に、遺族となる家族などへの負担を軽減することができます。もし、今生きていく中で、 不要な物品の整理や整頓がされてあれば、こうした遺族などへの負担がいくばくかは減らすことができます。
生前整理は、個人が自分の人生に対してコントロールを持ち、より安心して生活できるようにするための、前向きな取り組みと考えられ、この整理を通じて人生の振り返りもおすすめです。さらには、身の回りがスッキリとすることで、死に対するストレスや不安、悩みなどの軽減もメリットとして期待されます。相続税対策としての効力もあります。生前整理と目的が異なりますが、断捨離にも同様な効果があります。
●生前整理を始める時期
生前整理のタイミングは、個人の状況や考え方によって異なりますが、意識の変化が生じたタイミングであり、次のようなことがきっかけとなるようです。
まずは人生の節目に始める人が多いと思われます。中高年の方であれば、子どもが家を出て独立した時、定年退職時、さらには離婚などのライフイベントがある際がそのタイミングです。
生前整理は、健康状態が良好で、元気で体力があるうちに、早めに始めるのがおすすめです。病気や高齢になる前に、自分の遺言や医療に関する意思を整理し、家族や関係者に伝えることもできます。
その他に、始めるタイミングとして、引っ越しや住まいの変更、リフォームの際、また家族構成や相続に関する問題が発生すると予測される際に、生前整理を始める方もいらっしゃいます。
●生前整理にかかる期間
生前整理の期間は、個人の状況や目的によって異なります。一部の生前整理は短期的に完了できるものもありますが、多少時間をかけて段階的に進めることが望ましい場合もあります。
多くは1年~2年程度の長い期間をかけて行う人が多いようです。お金や土地、権利など自分の持ち物すべてを対象とするため時間がかかり、本人のみならず、親族や税理士、関係各所との相談を経て、まとめていくからです。
基本的には、計画的に進めていくことが大切で、その中で優先度を決めて取り組まれていくことが合理的です。また、進めていく中で、見直しや変更などが生じる場合があります。
●遺品整理との違い
ところで、生前整理と一般的によく耳にする遺品整理とは、どのように違うのでしょうか。
そもそも、整理を行う主体が異なります。遺品整理を行うのは、主に家族や親族であり、亡くなった方に身寄りがない場合には行政側で進められるケースがあります。いずれにせよ、本人が亡くなった後に行うのが遺品整理です。遺言などにより、故人の意思に基づいて遺品整理がされる場合はありますが、遺品整理をする側の意思によって行われる場合も多くあります。
一方、生前整理を行うのは、整理されるものを持つ所有者・本人となります。所有者本人が生きているうちに自ら行うものが、生前整理となります。したがって、基本的には本人の意思によって整理が進んでいくことになります。
“終活”で行う生前整理の進め方
それでは、生前整理の主な段取りについて、以下でご案内します。いずれにせよ記録するものが必要ですので、ノートまたはパソコンなどを使用して、必要事項を記録していくと便利です。エンディングノートを用意して、進めることもむよいでしょう。
STEP1 所有財産の一覧表を作成する
まずどのような所有物、整理すべき対象があるのか把握することから始めます。
一覧表やリストとしてまとめると、抜け漏れなく整理できます。保管場所なども記しておくと、ご自身や遺族のために便利です。
例えば、資産や財産一覧の例として以下のようなものが挙げられるでしょう。
・現金/預貯金/銀行口座
・土地/建物~遺産相続した放置となっているものも含みます
・宝飾品/絵画/骨董品など
・自動車/バイク
・有価証券/株券/負債および債務証書/賃借物件契約書
その他、売却する価値がありそうなものなども記載しましょう。
STEP2 相続の準備をする
次に、財産一覧に沿って相続の準備を進めていきます。具体的に誰に相続してもらうことを希望するか、を整理します。
合わせて、遺言書やエンディングノートを作成しておくと、遺族にご自身の意思が共有でき、正確に伝わります。
これは、残された相続人同士の相続トラブルを防ぐために重要となります。
なお生前整理というより、終活の一部となりますが、重病や緊急時における治療方針・延命措置について、介護などの方針、お墓やお葬式についての希望などを決めておくことも大切です。葬儀業者には事前相談会などを行っているところがありますので、利用することもむよいでしょう。
STEP3 形見分け・不用品をリストアップする
次にSTEP1で作成した財産一覧に入らない所有物を整理します。
どちらかと言えば、財産というより、日々の暮らしで用いる普段使いの品物の整理となります。形見として引き継げそうなもの(形見分けを行うもの)と不用品に分けていきます。仕分け終わってから、整理収納しておくと、なお良いでしょう。
形見分けでは、可能であれば相互の希望を尊重し、できるだけ公平かつ協力的な形で進めることが望ましいといえます。亡くなる前に、引き継ぐ方と形見分けについて話し合うことができれば理想的です。特に、ご自身で大切にしていたもの、思い出や愛着があるものは、そのお気持ちまで安心して引き継げる生前の形見分けが勧められます。
STEP4 形見分けを行う/不要品を整理・処分する
形見分けは、誰あてのものかをわかるように明確しておきます。特に生前形見分けとして直近に渡す予定があるものは、よけておく必要があります。
ただし、形見分けとはいえ品物を受け取る場合は贈与税が課せられる可能性がありますので、品物の価値に注意しなければいけません。
不用品として判断されるものは、順次廃棄処分をしていくことになります。日常のゴミとして少しずつ出すほか、粗大ごみや大量に廃棄する場合は、自治体の回収を手配するか、自ら処分場へ持ち込みます。、
終活での生前整理のポイント
上記でご案内したことに付随して、さらに気にしておくべき、生前整理の注意点・ポイントをいくつか挙げておきたいと思います。
●契約しているサービスがないか確認する
今現在利用しているサブスクリプションサービスやレンタルなどを整理しておきましょう。
今、不要なサービスであれば、終活を機に解約することが勧められます。気づかないうちに延滞金が膨大になっているケースがあります。また、解約期間が定められている場合、それ以外のタイミングでは、違約金が発生するケースもあります。
●デジタルデータの整理を行う
パソコンやスマートフォンなどデジタル機器内のデジタルデータの整理は意外と忘れがちなもの。デジタル遺品と呼ばれるスマートフォン・携帯電話の文書や画像、SNSアカウントなどのデータは不要であれば削除しておくようにします。自分が亡くなった後のスマートフォンやPCの扱いを決めておくことも大切です。IDやパスワードも必要であれば、生前整理として記録しておくことが求められます。SNSなどのアカウントもエンディングノートなどに控えておくと良いでしょう。
●貴金属などの財産の価値を調べる
貴金属・宝飾品・美術品・骨董品などのジャンルは価値のあるものが紛れている可能性があります。入手したときには少額の買い物であっても、現在の価値は高騰しているものがあるかもしれません。上記のジャンルのものがあれば、専門分野の買取業者に査定してもらうことが勧められます。
不要となった品物であれば、買い取りを行ってもらえるでしょう。特に整理する時間が十分あると判断できれば、買取業者に査定を依頼し、売却しておくことも良いでしょう。
●自分でできない場合は業者に依頼する
遺品整理業者として、遺品の整理・処分を行っているところであれば、生前整理も対応してもらえるところがほとんどです。遺品整理士と呼ばれる専門家が所属していれば心強い味方になります。ただし、処分を依頼する費用がどうしてもかかります。その場合、不用品を買い取って、処分費用の一部に充当してもらる業者がありますので、そうした業者に依頼することも選択の一つです。特に、荷物が多いなど、作業自体が手間で労力を要する場合には、処分方法整理業者に依頼すると良いでしょう。
参考ですが、生前整理を行う業者の費用相場としては、家の広さや荷物の量などによって費用は異なるのですが、3LDKの場合では100,000円~500,000円程度が相場と思われます。
終活の第一歩は生前整理から! 時には業者の力も借りながら計画的に!
以上で、終活にかかる生前整理についてご案内しました。「まだまだこれから」とお考えの方でも、「そろそろ」とお考えになるタイミングで、こちらを見返していただければ幸いです。お一人で生前整理を進めるのはたいへんですので、有償・無償でいろいろなサービスを提供する業者と相談しながら進めることは、効率的です。
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