茶道具の価値を見極めるコツは?道具の種類や高く売るためのポイント
かつてはお茶の先生が茶道教室を開いているお宅をよく見かけました。女性の習い事として、またたしなみとして人気の茶道でした。現在では、かつてほどの賑を見せてはいないようですが、今日でも「お茶会に誘われて」と和服でお出かけになる御婦人もいらっしゃいます。そのため、もしかするとこうした茶道の道具が残されているお宅があるかと思います。
今回は、美術品・骨董品としての茶道具の世界とその売却方法をご案内します。
茶道具とは
茶道として流儀が確立したのは、千利休によるものとしてご存じの方は多いでしょう。その後、現在までに表千家・裏千家・武者小路千家をはじめとするさまざまな流派が生まれ、ぞれぞれで学ばれている方がいらっしやると思います。
茶道具は、こうした流派が確立していく中で、お茶を嗜む道具として必要なスペックが定まり、独自の工芸分野として茶道具が成立していきました。
はじめに茶道具の概要をご紹介します。茶道具とは茶道に使用される道具の総称です。
由緒ある茶道具は骨董品としての価値が高く、文化財として保存されているものも数多くあります。それは、公家や大名同士が信頼関係を築く証として与えられたり、また戦争の報奨として与えられるなどの目的で茶道具が用いられたことによります。このように元々茶道具は貴重であり、価値があるものが当初から存在していました。
広い意味では、抹茶や煎茶などの種類に関わらず、茶道に使用する道具はすべて茶道具と呼ばれていますが、一般的には、楽茶碗など抹茶を飲むための道具を茶道具といい、急須など煎茶を飲むための道具は煎茶道具として区別されています。
また、先に述べた流派によって使用する道具がわずかに異なる場合もあります。
茶道具の種類
以下では、より詳細に茶道具をご紹介していきます。先に記したように細部では流派による違いはありますが、名称としては概ねどちらでも用いられているものです。
また、季節(炉用・風炉用)や濃茶用・薄茶用などの目的や使用される場の違い、和物(日本産)・唐物(中国産)といった産地の違い、材質・素材や技法などの違い(楽焼・堆朱など)による区分もあります。
●手前道具
茶を点てる際に直接使用する道具です。お稽古でもこちらは概ね用いられているものとなります。
大きくは茶を点てるための道具とお湯を沸かすための道具となります。
主な道具/茶碗、茶筅(ちゃせん)、茶杓(ちゃしゃく)、棗(なつめ)、水指、茶釜、茶器、茶入れ、建水、蓋置など
●装飾道具
お客様を招いてのお茶会で用いられる茶室・お茶席の雰囲気を整えるための道具です。
主な道具/掛物(掛軸・掛け軸)、花入(花瓶)、香炉(こうろ)、香合など
●懐石道具
正式な順序に則って行われるお茶会を茶事といいますが、この際に供される食事に使用するための道具です。一般の食事に用いられる食器に近いものです。
主な道具/膳、椀、飯器(はんき)、酒器など
●待合・露地道具
茶事の際に招かれたお客様が茶室に入る前の待合(待機部屋)や茶室廻りの露地(庭)で使用するための道具です。
主な道具/煙草盆(たばこぼん)、円座、露地草履(ろじぞうり)、蹲踞柄杓(つくばいひしゃく)など
●水屋道具
茶事の準備や後片付けに使用する台所のような場所を水屋と呼び、ここで使用するための道具です。
主な道具/茶巾盥(ちゃきんたらい)、茶掃箱(ちゃはきばこ)箱炭斗(はこすみとり)など
●その他、お茶を点てる亭主やお茶をいただく客が持つ道具として、帛紗や懐紙、扇子などがあります。
茶道具の価値を見極めるコツ
現在の茶道で価値がある/高価なものとしてどのようなものがあるのでしょうか。購入した時の値段より、現在の価値が上がるケースと下がるケースがあります。
以下では、茶道具の価値を見極める基準としてどのようなものがあるかを見ていきます。
●作家の著名度
多くの茶道具は工芸品に該当します。この分野では、現在人間国宝の指定作家や文化勲章の受賞作家がおり、超有名作家である彼らの作品は高い価値があります。
焼き物・陶芸分野では、荒川豊蔵や三輪休雪、楠部彌弌などがいます。漆器・漆芸分野では、松田権六、大場松魚、田口善国などがいます。
これらを含む作家名の知られた方はそのネームバリューに応じて価値が上下します。
●希少性
現存数が少ないものや歴史的な背景があるものほど高価です。かつての大名が所有していた中国から渡来した茶道具などは非常に希少価値があるものです。こうした特定の時代や地域でしか作られなかったものなどは価値が高いものです。
また、明治時代以降は、維新後に活躍した政治家や実業家などの近代茶人・著名人が使用した茶道具は目利きが所有していた茶道具として価値があります。
●保存状態
茶道具は基本的には使用される道具です。使用後の清掃や保存状態が良いものはより高く評価されることになります。
未使用のまま保管されていたものであれば一番価値はありますが、使用されたものでも傷や汚れが少ない、変色や色あせが少ないものであれば一定の価値はあります。
●落款や銘の有無
著名な作家の落款や銘があるものは価値が高くなります。落款や銘とは作家が自らの作品であることを証明するために刻む印やサインのことで、近現代の作品であれば、一部の例外を除いて、作品に銘は必ず入れられています。
陶磁器では北大路魯山人の「ロ」銘や金重陶陽の「ト」銘が有名です。
例外としては、陶芸家で河井寛次郎、濱田庄司、柿右衛門窯の当主・酒井田柿右衛門本人作などは作品本体に銘の記載がありません。
●書付の有無
書付・箱書きがある茶道具は価値が高くなりやすいものです。書付とは、茶道具の箱(多くの場合は蓋の裏側)に家元や権威ある人物がその道具を認定した証として書かれるものです。書付は各茶道流派の家元、京都・大徳寺などの茶道に関する寺院の住職が行うことが多くなっています。
書付が高い評価を受けやすい家元は以下のとおりです。
・表千家/惺斎、即中斎、而妙斎
・裏千家/淡々斎、鵬雲斎
茶道具を高く売るポイント
それでは、お手元に茶道具が残されている場合に、より高く売却するためのコツをご紹介いたします。
以下の事項に留意して、査定に出してみましょう。良いものがあれば、数十万から数百万円になる可能性があるかも!
●付属品を揃える
茶道具の付属品が揃っていると価値が高まるため、共箱、書付、証明書、鑑定書などを揃えましょう。作者名の判明や古いものであれば道具の由来や価値が証明されやすくなります。
●鑑定前に手入れをする
状態を整えることで、査定価値が上がるため、ほこりを払い、柔らかく乾いた布で優しく拭くことがよいでしょう。
ただし、素人が無理に修理・修復や清掃を行うと逆に価値を損なうこともあるため、簡単な手入れに留めることがコツです。また、査定までは直射日光を避け、高温多湿にならない場所で保管すると良いでしょう。
●まとめて売却する
単品で売るよりも、複数の茶道具をまとめて売却する方が高く売れることがあります。そのため数が多い場合は、なるべくすべての茶道具を揃えましょう。同じ作家の作品や関連性のある道具をセットで売ると、全体の価値が上がるケースもあります。
●複数の業者に査定を依頼する
買取業者ごとに査定基準が異なるため、複数の買取店・買取業者に査定を依頼しましょう。査定額・査定結果を比較検討することで、より高い価格で売却しやすくなります。
●専門店で査定する
一般的なリサイクルショップや質屋では、茶道具の価値を正しく評価できないこともあるため、美術品買取専門店や茶道具買取専門店と記載がある買取業者に査定を依頼がおすすめです。専門店では、作家の評価や歴史的背景を考慮した上で適正な価格を提示してくれることが多いと思われます。茶道具の正確な価値を把握でき、適正な価格で売却することができます。
茶道具はその価値を見極めて、ひと工夫して高く売ろう!
茶道具は広い意味では、陶器・漆器・金属器などの工芸品ですが、それぞれ茶道具としての専門性がありますので、その価値の把握には知識が必要です。そのため、茶道具のご売却に際しては、上記でご案内したように専門店で査定することが望まれます。
こうした茶道具を含む骨董品や美術品の買取先を選ぶ際は、鑑定士の目利きが重要です。骨董品買取こたろうに所属するのは、作品の真贋や作家の価値を目利きできる、経験豊富な鑑定士です。
大切な茶道具を丁寧に査定し、他社よりも高値買取価格を提示できます。国内外に独自の流通ルートを持つこたろうだからこそ、相場より高い買取が可能なのです。
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