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国内外の有名な版画家と代表作は?版画の技法と現代における価値


小学校や中学校の授業でどなたも版画/はんがを製作したものと思います。特に彫刻刀で木版を彫り出す技法は、日本において発達し、木版を使用した浮世絵は日本美術として世界的に評価される絵画作品となっています。もともと版画の技法自体は古く、7世紀頃値の印刷技術として木版が生まれてたものとのことです。
以来、現在まで版画の技法は日々大きく発達し、絵画作品の技法の一つとして、また原画複製技法として私達の身近な美術作品となり、展覧会や個展を開く版画家も多数います。
今回は、版画家とその技法についてご紹介します。

   

版画の基礎知識
では、はじめに版画についてその技法や特徴をご紹介いたします。

●版画とは?
版画とはどのようなものでしょうか。版画は彫刻を施した版を作り、インクを塗布して紙に押し当てることで絵画を製作する技法と、製作された絵画のことを指します。
彫刻は木板や石板などの原版(げんぱん)を用いており、同じ版から複数の作品を生み出せることが版画の特徴となります。
歴史を通じて、ヨーロッパや日本を含む世界各地で独自の版画技術が発展しました。
銅版、石版、木版、さらには布地を使用したシルクスクリーンなどが原版の種類として知られています。
現在では、コンピュータによるデジタル化や写真技術の進展により、従来の版画技法を超えた領域に入っており、原版を使用した作品とは異なった繊細な趣の作品が生まれるようになりました

●版画の技法
旧来からある版画においては、その版の仕組みから大きく以下の4つに分類されます。

(1)凸版(とっぱん)印刷
彫られた部分を避けて版の表面にインクを適用し印刷する技法です。盛り上がった部分にインクを乗せて刷る技法です。
代表としては、日本人にとって一番に馴染み深い木版画がこちらに分類されます。
木版画では、木の板を使用して、インクを乗せたくない部分を彫り込んで原版とします。

(2)凹版(おうはん)印刷
凸版印刷の真逆で、版の凹部にインクを満たして印刷を行う技法です。一旦、版の全体にインクを刷り込み、窪んだ部分のインクを残すようにして、前面を拭き取った後、印刷します。
銅版画(銅板を使用して、鋭利な道具で線を彫り込み、原版とする技法)やエッチング(銅板に酸に強いワックスや樹脂を塗り、描いた部分を酸で腐食させて原版を作る技法)、メゾチント、アクアチントなどがあります。

(3)平版(へいはん)印刷
油性のインクと水を使用し、平らな版から画像を転写する技法です。代表的にな技法としてリトグラフ(石版画/石板や金属板を原版として使用し、直接版に絵画を描きこんで製版する技法)があります。

(4)孔版(こうはん)印刷
版にあけた孔(あな)を開けてインクを通し、刷る技法です。一番簡便なものとして、描く対象を切り取った部分から紙にインクを乗せるステンシル、布地にインクを通す穴を作り、インクを紙へ乗せるシルクスクリーンなどがあります。

以下、リトグラフについての詳細は以前の「お役立ち情報」を参照ください。
「リトグラフとは?価値の基準や絵画の特徴、有名な作家について」
  

【国内外】版画の有名な作家と代表作
それでは版画の製作者としてはどのような作家がいるのでしょうか。以下では、国内外で各3名の代表的な作家を解説いたします。

●【日本】有名な版画家
・葛飾北斎(かつしかほくさい)
(1760年 ‐ 1849年)
江戸時代後期の浮世絵師です。肉筆の絵画も製作しましたが、主に木版画で、花魁や相撲取り・役者や歴史上の人物、美人画、風景や虫・鳥や草花、建物などさまざまな題材に挑戦し、生涯をとおして連々と約3万点の作品を製作しました。
浮世絵(うきよえ)は、日本の江戸時代に発展した伝統的な木版画や絵画の一種で、当時の庶民の生活や風俗、自然、物語を描いた作品を指します。「浮世」という言葉は、江戸時代には「現世の移ろいやすい楽しみ」を意味し、浮世絵はその名の通り、庶民文化や流行、娯楽を反映した美術として人気を博しました。
代表作:『富嶽三十六景(ふがくさんじゅうろっけい)』『山下白雨(さんかはくう)』など

・歌川広重(うたがわひろしげ)
(1797年 – 1858年)
江戸時代後期の浮世絵師です。風景を描いた連作の木版画で、江戸の人々に人気となりました。
代表作:『東海道五十三次(とうかいどうごじゅうさんつぎ)』『名所江戸百景(めいしょえどひゃっけい)』など

以下、浮世絵についての詳細は以前の「お役立ち情報」を参照ください。
「浮世絵とは?基礎知識や主要なジャンル、有名な浮世絵師の代表作」

・棟方志功(むなかた しこう)
(1903年 – 1975年)
20世紀の美術を代表する世界的巨匠の1人といわれる日本の版画(板画)家です。もともとは洋画家を志していましたが、特に木版画に転向した後、この分野で高い評価を受けた画家です。イタリア開催のヴェネツィア・ビエンナーレ国際版画大賞を受賞し、一躍注目されました。作品を多数所蔵していた棟方志功記念館が昨年閉館し、青森県立美術館へと作品が移されました。
代表作:『二菩薩釈迦十大弟子(ぼさつしゃかしゃりほつ) 全十二柵』『大和し美し(やまとしうるわし)版画巻』など

以下、棟方志功についての詳細は以前の「お役立ち情報」を参照ください。。
「棟方志功の作品の価値は?代表作と「セカイのムナカタ」の特徴と魅力」

日本の版画家は上記のほかにも、清宮質文(せいみや なおぶみ/木版画でモノタイプを中心に制作し、深い思索を背景にした静謐で詩的な独自の世界を表現した)、斎藤清(さいとう きよし/独学で独自の木版画技法を確立しました。浮世絵版画の技法や西洋作家の近代的技法を積極的に取り入れ、独自の日本的な詩情あふれる世界を表現しました)、吉田博(よしだ ひろし/自然と写実そして詩情を重視した作風で、明治、大正、昭和にかけて新版画家の第一人者として活躍。若くして渡米し、西洋絵画の技法に触れて、自らの作風を確立し、帝展などで活躍しました)、木版画家の川上澄生、銅版画家の浜口陽三などがいます。

   

●【西洋】版画が有名な作家
・アルフォンス・ミュシャ
(1860年 – 1939年)
チェコ出身の画家で、フランスなどで活躍しました。当初は挿絵画家で画業を開始しましたが、アール・ヌーヴォーを代表するグラフィックデザイナーとなり、イラストレーター、画家として知られています。
代表的な作品であるポスターや装飾パネルは、版画のリトグラフを用いました。
版画の代表作:『黄道十二宮(こうどうじゅうにきゅう)』『四季』『ジスモンダ』など

・パブロ・ピカソ
(1881年 – 1973年)
誰もが知る現代美術の巨匠と呼ばれるスペイン出身の画家・彫刻家です。版画では、銅版画、リトグラフ、リノカット(リノリウムという床材として多く使われる柔らかい素材を原版として使用してデザインを彫り、インクを塗布して紙などに印刷する技法)などさまざまな技法を用いました。
版画の代表作:『人間喜劇 Ⅰ』『横たわる女とギターの前の闘牛士【酒神の宴、女、雄牛と闘牛士より】』『牧神と山羊【酒神の宴、女、雄牛と闘牛士より】』など

・マルク・シャガール
(1887年 – 1985年)
20世紀を代表するロシア生まれのフランス画家です。妻への敬愛から作品を描き「愛の画家」と呼ばれたり、また華麗な色づかいから「色彩の魔術師」とも呼ばれました。
肉筆画を多く描きましたが、これらを原作として版画では、リトグラフを用いました。
版画の代表作:パリ、オペラ座天井画『夢の花束』など

上記のほかに、版画作品で知られている画家として、アンディ・ウォーホル(アメリカの現代アート作家。シルクスクリーを多用して、消費社会を象徴した)、ジョアン・ミロ(スペインの画家、彫刻家、版画家)。20世紀のアバンギャルド芸術を代表する一人で、シュルレアリスム運動に深く関わりながらも、独自の抽象的で詩的なスタイルを発展させました)、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックなどがいます。

   

現代における版画の価値と特徴
版画は絵画技法として確立されており、美術作品として国内外で盛んに売買されています。
それでは、版画の価値はどのように決まるのでしょうか。

 

●版画は世界中で人気がある
版画は現代でも日本と世界で高い人気があり、古いものや人気画家の作品などは高値で取引されています。
需要が高い版画は、数百万円〜数千万円という価値がつくこともあり、2023年3月に行われたオークションでは、現行日本国紙幣・千円札の裏面にデザインされた葛飾北斎の『神奈川沖浪裏』が280万ドルで落札されました。

●有名な作家の版画は価値が高い
アート市場で、誰の作品なのかは重要視されるポイントです。収集家から人気のある画家や、評価されている有名な画家の版画は、価値が高くなりやすいと言えます。
特にその画家らしさが出ているものや出来栄えの良いものなどは、同じ画家の版画の中でもより価値が付きやすいものとなります。

●希少性のある版画は価値が高い
オークションなどの二次販売では、需要と供給に応じて価値が決まるため、市場に出るタイミングにより価格に変動があります。
特に、画家の生存時期に制作された本人のサインが入っている貴重な版画や、エディションナンバー(限定枚数)が少数で、制作数が少ないものなどに価値があります。

版画をメインとする製作技法の有名な版画家作品は高値取引が期待されます!
最後に、お手元に版画があり、そちらの版画を買取に出す際のポイントについてご紹介します。
まずは、作品のコンディションが価値を左右します。シミ、色あせ、破損、折れ線などがあると、残念ながら買取価格のマイナスポイントとなります。
そして、一番のポイントは上記で上げたようにどの作家の作品かということが大きく影響します。
原画を複製した版画でも、人気作品があります。特に画家の生存時期に制作された本人のサインが入っている作品が価値のあるものとなります。
もし、今回ご紹介した作家の作品がございましたら、ご売却をお考えの際に、絵画買取の実績ある骨董品買取こたろうまでお問い合わせください。

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